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「短編、SS、読み切り」
性友(せいゆう)の契り

性友(せいゆう)の契り②

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妻は良家のお嬢様で三女であるが、実は母親が違ってて、母娘供にその家の人間から厳しく仕打ちを受け、そこから距離を置き母子家庭となったが、金銭面の援助があり、生活にはこまらなかったそうだ。

妻はその一族の血が流れている事を知ったのは高校生の時であり、そこの家に行ったのだが、特殊な生活になじめず、父親とも数回しか会った事がない。三女と言うのは、父親にとって三人目の娘であり、書面の上での三女と言う意味だった。
他にも腹違いの子供がいて、妻も自分の知らない兄弟がいるのではないかと言っていた。

普段なら本家の娘と結婚するものだが、父親は影響力がある人物であり、自分の子供には平等に扱う立場である。妻も父親の力で投資銀行に入行できたし、お金や権力がある人間は多少なりとも清廉潔白と言うものではない。たとえ正妻の子でなくても、人物によって影響力はあるだろうし、父親はとても影響力がある人間だ。

そういう人脈を築く上で出世も有利にもなるし、妻と結婚した。妻もそれが承知のうえだったようだ。
その関係で同期よりも出世も早い方だったが、影響力はいつまでも続く事はなく、高齢で体調が崩したとなると、私の出世にも少なからず影響が出た。

ただその時は彼と知り合い、気持ちに余裕が出来ていたので、気にする事もなくなった。やがて妻の父親が亡くなり、莫大な遺産争いが勃発した。

妻は本家の正式な人間でもないし、数えるくらいしか行った事ないし、自分には関係ないと思っていたのだろう。それに妻は投資銀行で培ったトレーダーのスキルでそこそこ稼いでいたし、お金の世界はわかる人間だ。

妻ももう本家とかの人間には関わりたくないし、私も彼との出会いで出世や名誉だけじゃない生き方に気付いたので、遺産は別にいらないと思った。
だが遺言書には本家の人間やそうでない自分の子供達にも相続させると言ったもので、それで正妻の子とそうでない人間が争ってるのだ。当然妻にもとばっちりが来た。

私は弁護士である彼に、この事を収拾させるため、代理人となってもらい、妻に関わらないでほしいのと、遺産はどちらでもいいと依頼した。
結果、遺言書に書いて遺産額全ては相続できなかったが、それの三分の二の遺産額は相続する事になった。そして妻はもうそこの人間と関係のない書面も作成した。

彼には感謝している。妻には彼との関係は話してなく、仕事先の知り合いと言う事にした。
妻は家柄の事や私の将来の事とは言え、苦労をかけた。

彼の性を知り、彼に思いを打ち明ける少し前だが、私は出世のために、自分の身内に非がないか、興信所に依頼して、妻の行動を調査するよう依頼した。今考えれば私は自分の事しか見えなかった愚かな事だと思う。だが私のいる官僚の世界は出世するには、自分だけでなく、家族の事も調査される。もし一つでもなんらかの不備な部分があれば、上には上がれない。上に行けばいくほど、そういった事が厳しくなる。

私はもし妻にそういった部分があればなんらかの対処をしなければとも思った。そして興信所からの報告書を見た時、私は驚愕した。
妻は同性愛者が集う場所によく足を伸ばしてると言うものだった。私のような堅い職業ならば、そういうのに偏見がある。

だが私は彼と出会い、自分の性をさらけ出す相手ができた事もあって、妻もまた私と同じような心の葛藤を抱えてるのかもしれないと思った。
ただの興味本位とも考えたが、報告書によれば週に三回はそういった場所に繰り出してるようだった。私が家にあまり帰らなかった事もあるし、妻自身自由な部分もあったのだろう。
彼に会う前なら?って思った事もあったが、別の形で妻の性を黙認していただろう。
私はそう思い、報告書を燃やした。

そして初めて彼に抱かれた時も、私は妻の事を話した。私と同じような性であれば、妻にもそういう権利があると述べ、私の事を知ってるだろうが、話すつもりはないと告げた。
だが時が経つに連れ、私が好きに生きている事もあり、妻にも自由に生きてほしいと思いがよぎり始めた。

私は彼に妻の事を話し、その思いも相談した。色々と助言してくれたが、最後には「自分で決める事だ」と告げてきた。

私は既に出世に道は閉ざされた。地方に転勤となる。単身で行くつもりだし、妻には色々と苦労をかけた。だから私の事をカミングアウトして、妻にも自由に生きてほしい願う。

私は帰り道、彼に電話をした。
「私だ。地方に行く事になった」
『そうなるって事は君の出世が閉ざされた事になるんじゃないのか?』
「そう言う事になるな。でもいいんだ。仕事はある」
『まあ君がそうなら。それでいいんじゃないか?で、何処に行くんだ?』
私は転勤先を告げたら、彼は今住んでいるところよりは近くなったと返してきた。だが仕事が忙しいので、頻繁に会える訳ではないとも返してきた。

「しばらく休みを長くとろうと思う。あそこではもう自分の居場所はなくなりつつあるんでな」
『そうか。だったら奥さんや娘さん連れて家族旅行にでも行ったらどうだ?』
「そうか。そうだな」
私は彼が誘ってくると期待していたが、彼が私を気遣って、そう言ったんだと感じた。
彼とは愛し合う関係であっても、無理な付き合い方をしてこない。だから私は彼の事を好きで居続けられるのだろう。
彼とは少し長く会話して、電話を切り、家路に着いた。


妻の同性愛者の可能性があると知った男は?
自分の性を理解してもらえるだろうか?
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