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「短編、SS、読み切り」
性友(せいゆう)の契り

性友(せいゆう)の契り⑤

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互いに自分から口にせず、探りあいながら、話の流れで告白する事になったが、私も妻も互いの性を吐露した事で緊張感張りつめた空気が穏やかな感じとなっている。
どちらかがノーマルだったらおそらくこの話はしなかったし、話したとしたら、重苦しい雰囲気になったし、果ては修羅場となっただろう。

「ずっと言わないつもりだったけど、君にその気があるんじゃないかと思ったら言った方がいいかと思ってな」
「どうして私の事そう思ったの?」
「だってテレビ観てもアイドルとか見てはしゃいだり、綺麗な女優観て“この人綺麗だなあ”って言ってたじゃん。普通女だったら男性アイドルに夢中になるもんだからね」
「ただ単に言ってたかもよ」
「かもしれないけど、顔観たらとろーんとしてた表情だったし」
「そうねえ。同じ性を持つ同士だからわかっちゃうのかもしれないわね。私も貴方がそうかもしれないと思った時、私の事を言うべきか迷ってた。ただの思い違いかもしれないと思ったし」
妻も自分の性に悩み、私の事をそう思い始めた時、カミングアウトしようかと思ってたが、確信が持てなかったのだろう。私は一応興信所に妻の調査した依頼した時に、妻が同性愛者の集いに足を運んでいて、妻も同性愛者のではないかと思ったが、確信は持てなかった。一歩間違えば大変な事になってただろうし、今こうして互いに同性愛者だとわかって安堵している。

妻が口を開く。
「ねえいつから自分が同性愛者だと思ったの?」
「高校くらいから女よりも男に目を向けるようになった。でもその時は今のように同性愛者に寛容じゃなかったし、隠してたよ。大学に入り同性愛者が集う場所に行って、自分がゲイだと受け入れた。付き合ってた人もいる。でも将来を考えると、このままじゃいけないと思い、その場から距離を置き、それからまたも封じ込めるようになった」
「そっか。私も高校の時に同じクラスに好きな女の子がいたの。クラスの人気者ではなかったけど、頭も良くて綺麗な子で男子から人気者だったし、女子も一目置いていた。私、男子からもてるのを見てモヤモヤしちゃったわ」
話を聞いてさっき同窓会の案内の葉書を見て、浮かれてたのはそういう事だったんだろう。

「それでさっき同窓会の案内の葉書見て浮かれてたのか?」
「そうよ。あ、どんな子かアルバムあるから見せてあげる」
妻がソファから立って、自分の部屋に走って行った。

普通はそんな感情は湧かないが、妻が好きな女がどんな人が興味が出てくる。
数分後、妻がアルバムを持って戻ってきた。
アルバムをテーブルの上に置いて、ページをめくり、その女を指差した。
「ほらこの子よ」
「本当に綺麗な女の子だよな」
見てみたら本当に綺麗な女の子だった。こりゃ男子はほっとかないだろ。
私は妻の方の写真も見た。眼鏡をかけて地味な感じだが、可愛らしさも感じる。

「しかしよく高校のアルバムなんか持っているな」
「うんその子の事忘れられなくてね」
「その子に告白したのか?」
「してないわよ。さっき貴方が言ってたように、同性愛者に寛容な時代じゃなかったからね。でもその子を見てるだけで元気が出るって言うか、生きる勇気が湧くって言うか。辛い事があった時、この子を見ると元気になれるんだ」
「だからずっと高校のアルバム持っていたのか」
その女の事を話す妻は目がキラキラしていた。その女は妻にとって彼女にとって大きな存在だったのだろう。

「その女は今どうしているんだ?」
「わからない。卒業してから疎遠だし、大学は結構いいとこ行ったみたいだけどね」
「そうなんだ。じゃあ何十年かの再会になるな。そりゃ楽しみだろうな。会って告白するのか?」
「しないわよ。結婚して家庭があるだろうし。でも写真一緒に撮ろうかと思ってる」
「そうだな。高校時代の思い出なんだろうし、でも君も同性愛者とわかってるんだから、その女にこだわらなくてもいいんじゃないか?」
「そうね。彼女でもできればあきらめがつくんだろうけど・・。貴方は彼氏いるんでしょ?」
夫婦で普通はこういった会話はしないし、ましてやこういった質問はしない。でも互いに同性愛者だと知った今、こういう質問にも答える事もできる。

「一応いるにはいるよ。頻繁に会える訳じゃないけど、君は?」
「いた事ないわよ」
てっきりいるかと思ったし、付き合った事もあると思ってたけど、いた事ないのは意外だった。

「昔はどうかわからないが、今はネットとかで、同性愛者が集う会とか出会い系アプリはあるし、出会いはないとかないだろうと思うけど」
「そりゃビアンのイベント行った事あるけど、音楽うるさいし、若い子ばっかりでさ。おばさんなんて相手にしないって感じなの。出会い系アプリもアプローチあってもなかなか続かないしね」
妻は出会いがない事に沈んだ顔を浮かべた。

「貴方はどうやってその彼と出会ったの?」
私は妻の問いに、彼の事を話した。仕事で知り合い、ある日彼が同性愛者の集う場所に足を運んでいた事を知り、彼の事をそういった性癖を知り、タイプだったので、ホテルに呼んで自分の性を話した事を述べた。


互いに同性愛者だと知り、
心が開く夫婦。


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