FC2ブログ

「Music of Life」
CHAPTER3「悲哀の少女・後編」

CHAPTER3「悲哀の少女・後編」26

 ←CHAPTER3「悲哀の少女・後編」25 →CHAPTER3「悲哀の少女・後編」27
屋上では香奈が武美と水穂に掴まれている。理代もそばにいる。足元には香奈の携帯が落ちていて、液晶ディスプレイにヒビが入っていて、機能停止に陥っていた。

「なあ香奈。おまえの足元の壊れた携帯みたいになりたくなかったら、舞子のところに行って飛び降りるように言って来い!」
一美が香奈に語気を強めて指示をする。香奈の携帯は壊されていたため、美紅の携帯の追跡装置に反応しなかったのだ。武美と水穂が香奈を離し、舞子のところに行くように促す。舞子は両手を柵に持ったまま、涙を流し震えている。

「香奈。さっさと行けよ!」
安恵は香奈に罵声を浴びせ、香奈は小刻みに舞子の方向に向かって歩く。
「間倉さん。辞めなさい!」
シノは一美に体を掴まれながらも、身体ごと前に出し、香奈に訴える。
「黙ってろシノ!」
一美はシノを睨みつけ、ナイフを切っ先を突き付ける。シノは舞子の怯える姿、香奈が苦い表情を浮かべながら舞子の方へ歩く姿を観て、悲しみのあまり涙を流している。

香奈は歩きながら、美紅と楽しくおしゃべりした時間の事を思い出していた。花蓮達と違い、美紅は上からと言う態度を示さず、対等に会話をしてくれる事。話してて楽しい事。その事を思い出し涙を流した。そして香奈はを止めた。

「香奈、何止まってるんだよ!言われた事やれよ」
安恵は香奈を更に罵った。それに対し、香奈は立ち止まって、微かに口を動かした。
「香奈、何て言ったとよ!」
一美が香奈を睨む。香奈がまたも微かに口を動かした。
「香奈、なんて言ったか知らないけど、みんなあんたに期待してるのよ。そんな事くらいわかるでしょ?」
美波が腕を組んで香奈に言った。
「ほらみんなあんたに期待してるんだよ。みんなも言え!」
安恵が周囲に生徒に煽るが、周囲の生徒は無言だ。

「オラッ!シノがどげなってもよかか?あたしらのクラスであたしらに逆らったら、次はおまえらの誰かに処刑ゲームに参加してもらうぞ!」
一美が生徒に睨みを利かし、生徒はしぶしぶと手拍子を叩きながら、香奈に煽る。しかし香奈はそれでもその場から動かない。
「ほらっみんなおまえに期待してるんだよ。さっさと行け!」
安恵が香奈に背中を押しながら、怒声を上げた。

香奈は唇を震わせながら、微かに口を動かした。
「ああ!なんて言ったんだよ!」
安恵が香奈のブレザーの襟を掴みながら睨む。
「い、嫌だ!」
「ああ!」
「い、嫌だって、言って、言ってるのよ!」
香奈は訴えながら、安恵を突き飛ばした。その光景に周囲はあっけにとられる。
「上等だよ!」
突き飛ばされた安恵は、顔を強張れせ、香奈に向かっていく。その時、ドアの入り口が激しく叩く音が鳴り響き、周囲はそっちに目をやった。


一方、寛斗はドアに激しく蹴り続けた。
「あちゃー。そんなに音を出すと誰かに気づかれるけどなあ」
統哉は苦笑を浮かべながら、周囲を見渡す。
「寛斗、早くしようや。誰か来るぞ」
隆矢があっけからんとした感じで寛斗に促した。
「誠良。これじゃやばいんじゃない!」
「かと言って俺らの事を周囲に見せられないだろ?」
誠良と真岼は小声でやりとりをした。やりとりしてる最中に真岼の携帯のバイブ音が揺れ、真岼は携帯を取り出した。

真岼の携帯に里実からのメールの受信だった。内容は音葉と二人でいるが、こっちも鍵をかけられてる状態である事。周囲に誰もいないので、時間はかかるが、針金で鍵穴につっこみ開けると言うメールだった。真岼は里実の携帯に、鍵が開いたら、こっちの鍵を開けに来てほしいと言う返信した。寛斗が蹴ってこじ開けている事も付け加えて。

「よし、これでなんとかいきそうばい」
寛斗は体を半回転させ、その勢いで左足でドアを蹴りこんだ。ドアは鈍い音がして、鍵が壊れ、勢い余って180度開き、屋上の壁に激突した。その光景に誠良達は大きく口を開けてしまう。
「全くあいつらなんて開け方するんだよ」
統哉は苦笑する。
「強引だよ。あの二人は。俺達には真似できないよ。武流、統哉。里実と音葉は反対側のドアにいるから、開けてあげて」
誠良は二人の行動にため息をつきながらも、武流と統哉に里実のいる反対側のドアを開けに行くよう指示した。了解の返事をした武流と統哉は反対側のドアに走っていく。

寛斗と隆矢は屋上に入り、その光景に絶句した。
「ああ!おまえらシノちゃんに何してるとよ」
隆矢は一美に掴まれてるシノの姿を観て、甲高い声を上げた。生徒達は寛斗と隆矢の姿に恐怖の表情を見せる。
続いて誠良達も屋上に入ってきた。香奈の姿を観て安堵するも、一美達の姿を観て、すぐに気を引き締めた。

「おまえら!舞子やシノちゃんに何する気とよ!」
寛斗が一美達や生徒を睨みつける。
「近づくなよ。舞子がどげんなっても良かか?」
一美がシノを盾にして、寛斗と隆矢に向ける。
「ほう。どげなると言うと?」
隆矢がにやけながら近づいていく。一美は焦った顔を浮かべ、ナイフをシノの顔にちらつかせる。
「近づくな。おまえらの大好きなシノ先生の顔に傷つけてもいいのか?」
一美は寛斗と隆矢を挑発する。

「ナイフですよ。どうします寛斗さん?」
「そうったいね。いくら女子(おなご)が相手と言っても、見逃せませんちゃね」
寛斗と隆矢の緊張感のなさに、あっけにとられる一美。呆れるシノ。それを観た隆矢は右手の親指と人差し指を弾いた。
「いったーい!」
一美の右手に隆矢の投げたピックが突き刺さった。
一美は激痛が走り、悲痛な叫び声を上げながらナイフを地面に落とした。

寛斗は素早く、シノの手を取り、一美から引き離す。
「シノちゃん大丈夫か?ここは俺らに任せて、他の先生呼んで来いよ」
寛斗はシノの手を取りながら言った。
「駄目よ!貴方達、暴力で解決する気でしょ?それに舞子ちゃんもいるの」
シノの言葉に寛斗と隆矢は舞子の方を向いた。
「おまえら舞子に何してるとよ?」
「あんたらに関係ないでしょ?」
寛斗の問いに安恵が怒声を込めて返した。
「馬鹿な事は辞めなさい!堀本さんが何したって言うの?」
「こ、こいつはさあ。あたしらのクラスを乱そうとしてるとよ。だ、だからどうなるか教えてやろうとしたとよ。それなのに、こ、こいつは屋上に来て、こがな事を」
一美は刺さったピックを抜きながら、苦悶の表情で訴えた。

安恵がイラついた表情で香奈に近づく。
「香奈、お前が早くやらないから、こんな事になってるんだろうが!さっきの事は水に流してやるから、さっき言った事、舞子に言えよ!」
安恵は香奈のブレザーの掴みながら揺らした。
「い、嫌だ!」
香奈はそれでも拒否する。その言葉に美紅は笑みを浮かべる。
「香奈、友達の言う事が聞けないの?あたし達さんざん友達してあげたよね?」
安恵は睨みながらで香奈のブレザーを掴む。
「な、何が友達だよ!あんた達は私にさんざん嫌がらせをして、何が友達よ!め、面倒な事は全て、わ、私に押し付けて、自分達は安全な場所にいつもいる。私の家が貧乏だって言うのにお金を出させる。何か悪い事をしても全部私に罪を被せる。舞子の教科書とかも、私に捨てにいかせる」
香奈は怒りの表情で安恵にぶちまける。その行動に美紅は香奈に笑顔を向けた。
「何言ってるの?何の証拠があるのよ!言ってみなさいよ!」
安恵は香奈に言い返した。
「私に万引きさせて、それを動画に撮って脅したり、それで私にお金を出させたりするのが、友達って言うの?」
香奈は涙を流しながら訴える。

美紅は香奈の涙を観て、香奈に近づいた。
「それだけじゃない。私の、わ、私の・・。」
「香奈。もういいよ」
香奈が言葉に詰まりそうになり、美紅がそばに寄って優しく微笑むが、香奈は笑顔で首を振る。
「私を眠らせて、嫌らしい動画を撮って脅して来た。さっきだって舞子にそこから飛び降りろと言えと一美と安恵に促された。でなきゃ私のそういう動画や画像をネットの掲示板に広めると脅して来たのよ」
香奈は大声で訴え、周囲がざわめき始める。
美紅はその事情を知っているが、それ故に苦悩の表情を浮かべてた。

香奈がついに勇気を振り絞って訴える。
よろしければポチッと
にほんブログ村 小説ブログ 学園・青春小説へ
にほんブログ村
にほんブログ村 小説ブログ 長編小説へ
にほんブログ村

香奈の勇気は美紅に与えてもらったもの。
応援よろしくお願いします。
にほんブログ村 大人の生活ブログ 恋愛小説(愛欲)へ
にほんブログ村

スポンサーサイト





総もくじ 3kaku_s_L.png 私事
総もくじ 3kaku_s_L.png BLACK PARKA -ブラックパーカー-
総もくじ 3kaku_s_L.png 短編、SS、読み切り
もくじ  3kaku_s_L.png はじめまして
総もくじ  3kaku_s_L.png 私事
総もくじ  3kaku_s_L.png BLACK PARKA -ブラックパーカー-
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編、SS、読み切り
  • 【CHAPTER3「悲哀の少女・後編」25】へ
  • 【CHAPTER3「悲哀の少女・後編」27】へ

~ Comment ~

NoTitle

やっと、やっと勇気が出ましたね。可奈。

舞子が死んだところで、このクラスのメンバーは喜ぶだけでしょうね。
可奈は、最後の良心だったのかも。

ライトさんへ

舞子が死んだところで喜ぶのは、花蓮、一美、安恵とそれと近しい仲間ですからね。
でも舞子は死ぬ事はありませんよ。

クラスの皆は一美達に逆らえず仕方なく参加してる者。それに便乗してる者がたくさんいます。彼らも罰を受ける事になります。

香奈の勇気はこの問題の打破になるでしょう。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【CHAPTER3「悲哀の少女・後編」25】へ
  • 【CHAPTER3「悲哀の少女・後編」27】へ