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「短編、SS、読み切り」
京に咲く二つの華

最終話「思い出に残る華」

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カルメンと未怜はそれからも二人の時間を増やし、互いに心身供に愛しあった。だがカルメンの滞在期間の最後の日を迎え、カルメンが京都に去る日がついにやって来た。

陽が暮れて空が暗くなり、カルメンと未怜は京都駅の近くの公園のベンチに座ってた。
「カル、いよいよこの日を迎えてもうたな」
「迎えてもうたな?」
「迎えてしまったと言う意味や!もう関西弁覚えや」
「ははは。ソーリー。覚えが悪くて」
カルメンは未怜に照れ笑いを浮かべる。

「あたしは旦那や子供がおるし、あんたもいつかは自分の国に帰らなあかんと言うのはわかってた。で、でもな」
未怜は下を向き、涙を落とす。
「わかるよ未怜。私もこれからも未怜と一緒にいたい。でも私も自分の帰る場所がある。だからこの二ヶ月間すごく大事にした。京都にいた事はすごく楽しかったし、貴方に出会えたんだよ。私は貴方といて、生きてるって感じた」
「うん、わかってる」
カルメンは両眼に涙を浮かべ、右手で未怜の左肩にそっと手をかけ、未怜は涙を拭いてカルメンに顔を向けた。

「ありがとうなカル。こんな歳になってるおばさんを愛してくれて。あんたのような美しい女に抱かれるだけでも幸せやったわ」
「ううん。私は表面的にしか人を愛せなかったから、結局みんな私から逃げていった。でも未怜はそんな私に心から愛すると言う事を教えてくれた」
未怜の感謝の言葉に、カルメンは笑顔で感謝を述べた。

「これから先。会う事はないかもしれへんけど、それでもあんたの事絶対忘れへん。カルとあたしの時間は誰にも知る事のない二人だけの時間やからな」
「うん。私も貴方のおかげで心の中にある華が咲いたわ。その華はいつまでも心に残る二人だけの華だから」
「そやな。その華はあたしとカルにしかわからへん華や」
未怜の顔に笑顔が浮かんだ。

「もう時間やな。適当に選んだけど、これ京都の土産にええかと思ってな」
「ええって?」
「いいんやないか?って意味や。わざとやろ?ほんまにもう」
未怜は笑いながら京都駅の伊勢丹で買った鼓月の千寿せんべいの一式セットが入った紙袋をカルメンに渡した。
「谢谢。非常高兴。(ありがとう。とても嬉しいわ。)」
カルメンは中国語で礼を言って、笑顔を浮かべるも涙を流し、紙袋を受け取った。未怜は意味は理解できずも、カルメンの心からの感謝に笑顔を浮かべ、未怜を抱きしめる。

「貴方に会えなくても、メールや国際無料通話で連絡できるわ。会えなくても文字や声で貴方を感じれるから」
「わかってる。ありがとな。カルとはどこでも繋がってる」
「旦那さんやお子さんを大事にしてね」
「カルも友達や家族、大事にせなあかんで」
「うん。お互いに大切なものを大事にしてからこそ、二人の心の中にある華が咲き続けるからね」
カルメンは未怜の体を少し離し、右人差し指で自分の唇に当て、その右人差し指を未怜の唇に触れ、未怜は優しく笑みを浮かべた。

「さあ時間や。また京都に来る事があったら連絡してな」
「その時は連絡するわ。未怜の熟れて美しい肌を堪能してあげる」
カルメンは未怜にウインクをして、京都駅に向かおうとした。
「Love a lot of me then.(その時はたくさんあたしを愛してな)」
「グッドな発音ね。そうしてあげるでん」
カルメンは未怜の拙い英語を聞いて振り向き、拙い関西弁で返し、軽く投げキッスで返し、京都駅に向かった。
未怜はカルメンの姿が見えなくなるまでずっとカルメンの方向を見続け、姿が見えなくなると、笑顔で公園を去った。

カルメンは京都駅の新幹線のホームの喫煙エリアでMSMを口に含みながら、携帯でカルメンと未怜の映ってる画像を観ていたが、突如携帯の着信音が鳴って、MSMを灰皿に揉み消した。
携帯のディスプレイを観ると、登録している番号で、名前も知ってる人間だった。

カルメンは携帯のディスプレイをタッチして右耳に当てた。
「Hello」
「It's been a long time. A guppy.(久しぶりね。グッピー)」
「まゆ。本当に久しぶりね」
「グッピー。ずいぶん前から日本にいるんだってね。しかも京都に」
「そうやでん。いたでん」
「あんた何その話し方?関西弁?しかも下手だし」
「うんそうばい。あんまうまく話せへんわあ」
「最初のはこっちの言葉でしょ?何で関西弁を話してるのよ」
真岼の問いに、カルメンは微笑みを浮かべる。

「京都で私とベッドを供にした女がいてね」
「また女なの!あんたも相変わらずだね。どうせ行きずりでしょ?」
「そうだけど、この二カ月。本当にあの人と愛し合ったわ。お互いに閉じてた華が咲いたし」
「へえ。珍しいね。グッピーがそのような表現をするとはね。なんか生き生きしてる声だし」
「サンクス。聞かせてあげるわよ。華を咲かせてくれた人との思い出をね」
カルメンは小さく微笑んだ。

“間もなく博多行き。のぞみが到着します”
ホームにアナウンスが聞こえてくる。
「カイは元気にしてるまゆ?」
「元気よ。誠良も貴方と会えるのを待ってるわよ。久しぶりだし」
「そうね。カイにも聞かせてあげるわ。それじゃ電車来るから」
「うん。そうね。それじゃまた」
真岼の返事を聞いたカルメンは通話をOFFにして、ホームに入ってきた新幹線が入り、鞄と未怜から貰った土産を持って、新幹線に乗り込んだ。


数日後、未怜はビアンサイトで知り合った友人とカルメンのマンションの前に来ていた。
「ここが未怜さんの彼女さんのマンションなんですか?」
「ええ。そうです。あたしに華を咲かせてくれた人ですわ」
未怜はその友人に携帯で未怜と映ってるカルメンを見せた。
「へえ。すごい美人じゃないですか?こんな人と付き合ってたなんて。しかもこんないいマンションに住んでる人なんて」
友人はカルメンのいたマンションを見上げた。

「外国だから、そう簡単に会えませんよね?」
「会えませんよ。でも生きてる限り繋がってますわ」
「私も遠距離だけど、いつも繋がってる感じですから」
「せやな」
友人がそう言って、未怜は笑顔で友人とマンションの前を去った。

日本の古都・京都で人生の中で短い時間でも供に共有したカルメンと未怜。互いの心に閉じていた華が愛そして思い出へとなり、いつまでも二人の中で咲く事だろう。

カルメンと未怜に
咲き続ける思い出の華。
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~ Comment ~

NoTitle

ちょっとドギマギしながらR−18を読みましたが、美しい純愛模様でした。
小説を読み終わった後の読後感。それってなんだろうっていつも流し読みつつ思い出してみるのですが、この短編を見てようやくその本質が分かった気がします。
素晴らしい出会いをした異性との思い出。それから別れ。それと似ている気がします。

面白かったです^^

青井るいさんへ

こちらに来るのは久しぶりですね。
こちらの短編読んでくれてありがとうございます。
小説でも映画でもドラマでもそうですが、いつも流して観賞して終わり、再び戻って本質を思いだすって感じですね。

この物語を読んでるいさんの過去を思い出しましたか?この物語がるいさんにとって良かったと思えて、私も書いてて良かったと思ってます。
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