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「Music of Life」
CHAPTER2「悲哀の少女・前編」

CHAPTER2「悲哀の少女・前編」20

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寛斗と隆矢の出現にチームのみんなは驚いた顔をし、野次馬達はざまめき始める。舞子を襲おうとした男子生徒の一人は隆矢が放って右手の甲に刺さったピックを抜こうとしていた。

そんな状況の中、隆矢は一美達のチームの面々に口を開き始めた。
「おいおいおまえら、女の子一人で数人はないっちゃないと」
隆矢がチームの人間に言い放った。

妙子は二人出現に余計だと思い、二人に顔を向ける。
「おい!おまえらには関係なか!引っこんでろ!」
妙子は男子生徒二人に掴まれながらも、二人に睨みつけながら言った。
「妙子、その状態で言えるなんてすごいっちゃね」
寛斗に冗談混じりに言われた妙子は顔を強張らせた。

寛斗と隆矢との会話に目を奪われている妙子に、隙をみた一美は妙子の顔面に右拳を放った。
「妙子!殺してやるとよ!」
一美は妙子の顔面に次々と拳を放ち、妙子の顔は口や鼻から出血した状態となる。一美はにやけながら殴り続ける。

妙子が殴られるのを見かねた冴が一美の下に走り、右腕で一美の左腕を掴む。
「もうそれでいいちゃないと?」
冴は一美を止めるように言い放った。

「こいつが殴ってきたからやってやるとよ」
「妙子ちゃんがそうなったのは、あんたらが原因じゃないと?」
一美の主張に冴はさらりと返した。

妙子は冴と一美のやりとりをしてる間に体を思いっきり回転させた。その瞬間、一人の男子生徒が吹っ飛び、妙子の体から離れる。それを見たもう一人の男子生徒がその光景に戸惑いの表情を見せた。
それを見逃さなかった妙子は左拳をもう一人の男子生徒に放ち、男子生徒は両手で顔面を押さえうずくまった。それを見た吹っ飛んだ男子生徒が妙子に向かって行くが、寛斗が左足で男子生徒の腹部を蹴って吹っ飛んで地面に倒れる。

「ああ!おまえら」
一美が倒れた二人に叫ぶ。他のチームの人間が妙子に向かっていこうとするが、寛斗と隆矢が前に出る。
「おい、一人相手にこれだけの人数でやるんやったら、俺らが相手するばい!」
寛斗が言い放ち、目を鋭く向ける。隆矢も柔和な顔を浮かべながら、チームの人間達に鋭い眼光を向ける。
チームの人間達は二人に対し委縮する。

一美が戦意をなくしたチームの面々に対して、
「おまえらどげんしたよ」
「あんたの負けばいね」
冴は笑みを浮かべ、一美に負けを宣告する。一美は歯ぎしりしながら冴を睨みつけるが、一美の顔面に妙子の右拳が炸裂した。一美が顔面を両手を押さえる。妙子は続いて右足で前蹴りを腹に放った。

暴行を辞めない妙子に冴は
「妙子ちゃん!もう辞めて!終わったとよ」
「まだ終わってなか!こいつらがまりりんにした事を心から謝罪するまではな!」
冴は妙子に懇願するが、妙子には届かなかった。

「た、妙子こんな事して、た、ただで済むと思うとか?」
一美は蹴りを食らった腹を押さえながら、息苦しそうに言った。

冴は妙子の左肩に手を置く。
「妙子ちゃん。これはあんたをそうしむけるように彼女達が張った罠ばい」
「だから・・?このままのさばしておけば、調子に乗るだけばい!」
冴の訴えに対し、聞く耳を持たない妙子は一美の胸倉を掴む。

妙子は一美を睨みつけてる最中、違う方向から薄気味悪い笑いが聞こえてきた。振り返ってみると花蓮だった。花蓮はフラフラになりながらも妙子に不敵な笑みを浮かべている。

妙子は一美の胸倉を離し、花蓮のところに足早に向かっていく。
「花蓮、まりりんに今までの事謝罪しろ!」
妙子は花蓮のブレザーの襟を掴んで怒号を上げる。

花蓮は妙子の行為に鼻で笑う。その行為に妙子は怒りの形相となり、花蓮の襟を掴みながら引っ張り、舞子の前に連れ出した。

舞子は壊された携帯を両手で持って座り込んでる。
「ほら!まりりんに謝れよ!」
「ごめんなさーい。舞子ちゃん」
花蓮はフラフラになりながら、舞子に良心のない謝罪をした。
「そんな謝り方があるか!ちゃんと謝れよ!」
「ふふ、ちゃんと謝ったじゃない。見てなかったの?」
「そうかよ!」
花蓮は悪びれた様子もない表情で妙子に返した。花蓮の表情を観た妙子は激高して、花蓮を引っ張りまわす。
野次馬達は花蓮を引っ張りまわす妙子が近づくと、無言で妙子を避け、妙子は花蓮を壁に叩きつけた。

妙子の怒りの行動を観た誠良はやられてる花蓮に同情できずにいた。
「芳野はやり過ぎだと思うが、西寺達もあそこまでやられて、謝る気がないとはな」
誠良は花蓮達の行動に呆れる。
「でも妙子もこのままじゃやばいよ」
真岼は妙子を心配する。

「もう終わりちゃっね」
妙子は静かに声を上げ、右拳を腹に思いっきり放つ。花蓮の口から唾液が飛び出し、それを見た周囲の人間は引いた。妙子は次に左膝蹴りを腹に放つ。花蓮は薄気味悪い笑みを浮かべながら咳き込む。

妙子が左腕を思いっきり振って花蓮に放とうとするが、隆矢に掴まれる。
「妙子もう良かっちゃよ」
隆矢は右腕で妙子の腕を掴むが、妙子は左腕を思いっきり動かし、隆矢の顔面に裏拳を放った。
「が、ぎぐ・・げ・・ご」
隆矢はそう言い放って、地面に倒れる。隆矢は間抜けな顔を浮かべている。

野次馬達は倒された隆矢を観て、
「あの畑鏡を倒したぞ!」
周囲は騒然とした。

隆矢が不意打ち食らったのを見て寛斗が、
「おい妙子!いい加減にしろよ!」
寛斗が妙子の右肩を掴む。しかし妙子の裏拳が寛斗に放たれる。
「危なかあ」
寛斗は間一髪でよける。

寛斗は臨戦態勢を整えようとするが、妙子は寛斗の方を見向きをせず、花蓮に右拳を向けようとした瞬間、妙子の背中に人影が現れ、右腕を捻じ曲げた。
「妙子さん。もうここまでです。終わりにしましょう」
音葉が妙子の右腕を捻じ曲げ訴える。

「音葉、来んの遅せーぞ!」
武流がそう言うも、音葉は無言だった。

妙子は音葉に右腕を掴まれて、もがいている。
「音葉!悪いっちゃけどな!こいつらはまりりんにやった事をちゃんと謝らんとよ!謝らせるまで痛めつけるばい!」
「気持ちはわかります。でも花蓮さんはもう重傷に近い状態です。このままでは」
「まりりんの痛みはこんなんじゃなかとよ!」
「そんな事して、舞子さんが喜ぶとでも思うんですか?彼女を見なさい!」
音葉は妙子に舞子の方を向くように訴える。妙子は舞子に視線を向ける。舞子は涙を流しながら、哀しげな顔を浮かべていた。舞子の顔を観た妙子の顔から怒りが少し引いた。

妙子から怒りが引くのを観た音葉は安恵と一美の方へ向く。
「安恵さん、一美さん。舞子さんの涙を見てなんとも思いませんか?貴方達が舞子さんを傷つけたおかげで、今そうやって貴方達はそうやって傷ついてる訳です。もうここらで舞子さんにちゃんと謝ってください」
音葉は安恵と一美に謝罪を促した。
「だからって暴力振るわれる覚えがなかよ!」
一美が音葉に怒号を飛ばす。

音葉が続ける。
「貴方達は言葉などの目に見えない心理的な暴力で舞子さんを傷つけた。その方がもっと陰湿です。その痛みがわからないから、そうやって目に見える傷を追ってるんじゃないですか?花蓮さんを見てください。彼女はもう駄目です」
「音葉うるさいよ。花蓮はまだ負けてないよ」
安恵も強い口調で反論する。

安恵と一美の言い分を聞いた妙子は音葉に視線を向ける。
「音葉、これでわかったちゃろ?こいつらは決して自分の非を認めようとせん!」
「わかりました。でもこれ以上は妙子さんが力を行使する事は許されません!」
妙子は右腕を解こうとするが、音葉は強くねじ込み、妙子の表情が歪みだす。

妙子は歪んだ表情を浮かべるも、音葉に掴まれている腕を解こうとする。
「無理に解こうとすれば、腕を悪くするだけです」
音葉は妙子に忠告した。
妙子は左のかかとで、音葉の足の甲を踏んだ。その瞬間ねじりが弱くなり、妙子の左エルボーが音葉の左わき腹に放たれ、音葉は妙子の右腕を離してしまう。

音葉のねじりを解いたのを観た誠良達は驚愕の表情を浮かべた。
「おい、音葉のねじりを解くなんて!」
誠良はあっけにとられる。

妙子はねじれが解かれた瞬間、ねじれた右腕を思いっきり、花蓮に振ろうとした瞬間、シノが呼びかける。
「芳野さん。もう辞めなさい!」
屋上のドアからシノと優香が出て来る。

二人は傷を負った妙子達に唖然とする。
「どうしてこんな事になったんよ」
優香ががっくりした表情で、妙子の下にやってくる。
「あんた達どういう事?」
優香が周囲に強い口調で問い詰めた。

「ユッキー。あたしら妙子に殴られたんだよ!」
安恵が優香に強く訴える。
「どうしてそうなったのか、理由があるでしょ?」
「あたしら何もしてないよ。なのにこいつが勝手に」
安恵は嘘の証言を優香に言った。

安恵の態度を見た真岼が右腕を振り上げ、安恵の頬を思いっきり殴った。
「この期に及んで、まだ自分が悪くないと言うつもり?もう認めなよ!自分達がやった事を!」
真岼が強い口調で安恵に言い放った。安恵は泣きそうな顔をする。

「河奈さん。辞めなさい」
優香が真岼に訴える。

「先生、こいつらに何言ったって無駄とよ」
妙子は右腕を思いっきり振り上げ、花蓮に放とうとする。

花蓮に放たれる瞬間に妙子の右腕が何者かに掴まれた。
「邪魔せんでよ!」
妙子は掴まれた腕を思いっきり振り払い、掴んだ相手は吹っ飛んだ。

「堀本さん!」
シノのその言葉を聞いて、妙子は振り上げた拳を下げ、舞子の方を向いた。

舞子が地面に倒れてるのを観た妙子は、体を震わせながら、舞子のところに駆け寄った。
「まりりん。ごめん。こんなつもりは」
妙子は涙を流しながら、両手で舞子を起こして謝罪した。シノと優香も舞子に駆け寄る。

涙を流す妙子の顔を観た舞子は
「たえ、もう貴方からは苦しい音色は聞こえてこないよ」
舞子が笑顔で妙子に言った。
「まりりん。ごめんね・・あああ」
妙子が舞子の胸に顔をうずめ、声を出して泣きだした。シノは妙子の肩に優しく手を乗せた。

誠良達は音葉の下に駆け寄り、里実が音葉に声をかける。
「音葉大丈夫?」
「ええ、まさか私の技が解かれるとは思いませんでした。怒りとは言え、あれを解こうとできる人ですから、彼女はただものじゃありません」
音葉は妙子について評価した。

冴が誠良達のところにやって来た。
「妙子ちゃんを止めたのは、舞子ちゃんやったちゃね」
「ええ、自分達ではどうする事もできませんでした。彼女は見ていられなかったんでしょう。自分のせいで悲しみと怒りで暴走する親友をね」
誠良は冴にそう返した。

誠良達は舞子の胸で涙を流す妙子を見て、哀しい表情を浮かべていた。周囲の人間もそんな妙子を観て、沈んだ表情を浮かべてた。

妙子と舞子の強い絆に。
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~ Comment ~

NoTitle

言葉で通じなければ戦争しかないですからね。
でも、力に頼るとはつまり、そこに至るまでの原因が必ずありますからねえ。
まりりんは優し過ぎますね。優しいと言う言葉で片付けるのもどうかと思いますが、悲しい程に優しいです。
これで一段落? ではないのでしょうね(笑)

青井るいさんへ

暴力はダメですが、言葉で言ってもわからなければ、それしか手段がない場合があります。
ここに出てる人達は高校生ですからね。まだそういった部分が幼いのでしょう。

舞子は人が良すぎなんですよね。優しすぎる性格ですが、それが舞子のいいところでしょう。

これで一段落ではありませんよ。まだまだ続きます。お楽しみください。

NoTitle

妙子ちゃん強いですね。
でも、ここまで大騒ぎになってしまうと妙子ちゃんの立場が心配です。
そして、妙子ちゃんがいなくなってしまうと舞子ちゃんはひとりに……。
隆矢くん、寛斗くんや誠良くんたちも見守ってるとはいえ、こんな風にかばってくれる妙子ちゃんとは違うからなあ。

舞子ちゃんガンバレ(>_<)

椿さんへ

妙子は本当に強いなって、製作している自分でも思います。
周囲に流されず、ただひたすら舞子のために、花蓮達に向かっていってますからね。
寛斗と隆矢は本能のままですが、誠良達は少し事情が違いますからね。
舞子がこの後どうなるか続きをお楽しみください。
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