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「Music of Life」
CHAPTER2「悲哀の少女・前編」

CHAPTER2「悲哀の少女・前編」27

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 美紅は下を向く香奈を見つめていた。二人の間に沈黙の空気が流れ、少し離れたところから見てる誠良達も黙って息を飲み、重い空気が伝わってくる。

五分くらい経過した後、ついに美紅が香奈に対し、口を開き始めた。
「香奈、どうして本当の事言わなかったの?貴方一人がやった事になってるんだよ」
美紅が優しく語るも、香奈は黙ったままだ。

美紅は黙ってる香奈に更に語り続けた。
「香奈、昨日私と一緒に帰った時、私にこういったよね?花蓮から離れたいって!でも今日になって、何でまた一緒にいるのかな?」
美紅の柔らかい口調で香奈に質問するも、香奈はまだ黙ったままだ。

美紅は香奈にゆっくり近づいて、両手で香奈の顔にそっと触れ、香奈の顔を上げ美紅に向けさせる。
「香奈。黙ってたらわかんないじゃない?私は貴方の事を思って」
美紅は笑顔で香奈を見つめる。

香奈は体を震わせながら、口を開いた。
「ほ、本当にそうなの?花蓮だってそういって私を」
「え?」
香奈の返答に美紅は戸惑いを見せ、それを聞いた誠良達も香奈の言葉に意外そうな表情を浮かべた。

美紅は香奈を優しく見つめながら問い始める。
「花蓮さんが何なの?」
「か、花蓮達は私をいじめるけど、時折花蓮は優しいところを見せたりする。一美や安恵がやりすぎないように制止する時だってある。でも再びまた私にパンを買いに行かせたり、万引きさせたりする。失敗したら一美や安恵に罰として、罵られたりしたり殴られたりするけど、逆にうまくいったら花蓮からご褒美として、ジュースとかおごってもらったりする事がある。花蓮は私にこう言うの。私達はいじわるしたりするけど、貴方のためにやってるのよって」
その言葉を聞いた美紅は沈みかけ、冴は”生かさず殺さずってやり方と言う訳か?”と考察した。

美紅は沈んだ表情をすぐに笑顔に戻し、右手で頬をさすりながら口を開いた。
「でも香奈も気づいてるんでしょ?このままじゃ駄目だって!昨日私に言った事は嘘じゃないって私は思ってるよ」
美紅は香奈にウインクをした。
「そ、そうだけど、やっぱ無理だよ。一年以上も花蓮達と一緒にいるし、周りはもう私が花蓮の仲間だと思ってるみたいだし」
香奈は美紅の気持ちを汲むが、否定的な発言をした。

「俺はそうは思ってないぜ」
その言葉を聞いた誠良が二人の近くにやってくる。
「間倉、昼休みに屋上で俺が言った事を覚えているか?君の事本当に友達かってあいつらに言ったね?あいつらムキになってたよな。俺の見解かもしれないが、あいつら心の中では君の事は友達として見てないと思うよ。人って何かしら何処かで見てるんだよ。そういう事だって見ぬける事もある」
「だ、だ、だからと言ってもうお、遅いよ」
香奈は誠良の言葉も否定した。

「遅くないよ香奈。前も言ったじゃない?私が貴方のいるべき世界を教えてあげるとね」
美紅は両手を香奈の両の頬から両肩に移して乗せて、笑顔を向けた。
「じゃあ何で楷真君達が近くにいるの?そ、それに昨日だって私に変な事してきたじゃない?」
香奈は美紅を睨みつけ、小さく怒声を浴びせた。

香奈の言葉を聞いた真岼と里実は鬼の形相で、美紅に迫ってきた。武流と統哉はニターとしている。音葉は腕を組んでため息をついた。冴は小さく笑った。
「怎樣的事喲。昨天一起返回時,虧心的事沒做說著喲?(どういう事よ!昨日一緒に帰った時、やましい事はしてないって言ってたよね?)」
真岼が美紅に鬼の形相で詰め寄った。
「真地不做。一起在香奈的房子附近骑自行车去了(本当にしてないよ。一緒に自転車で香奈の家の近くに行っただけよ)」
美紅が慌てて手を振る。
「完全吃惊的人。你马上那样做因为出手(全く呆れた人ね。あんたはすぐそうやって手を出すんだから)」
里実も美紅に睨みながら詰め寄る。
「Is it utterly scandalized at all? It is that it is going to damage a dirt crying maiden's heart. (全く呆れてものが言えませんね。汚れ泣き乙女の心を傷つけようとするなんて)」
音葉は英語で静かに冷ややかに言う。
「Wait just for a moment. It does what and takes so to task.(ちょっと待ってよ。どうしてそう決め付けるのよ?)」
美紅は今度は英語で弁解を始める。

美紅が三人から目を時々逸らすのを冴は見逃さなかった。
「Why are their eyes turned away so much, Cal? (カル、どうして目をそんなに逸らすのかな?)」
冴が不敵な笑みを浮かべ、美紅に英語で質問を始める。
「what kind of things do ? (どういう事よ?)」
美紅はまばたきを多くしながら、問い返した。

冴は美紅がまばたきが多いのを不審に思った。
「When I blink my eyes that much why?(何でそんなにまばたきをすると?)」
「What kind of thing is it?(どういう事よ?)」
美紅は冴の問いにムキになって返すも、冴は不敵な笑みを美紅に向けた。

美紅は観念したように語り始めた。
「I understand. It says. It says that your heart seems to be the soft breast when you part from Kana, and points out one lightly, and having attached lightly with the finger is only. (わかったわ。言うわよ。香奈と別れる時に、貴方の心はその柔らかい胸のようだと言って、軽く一指し指で軽くついただけよ)」
美紅は照れながら答えた。

美紅の答えを聞いて、真岼と里実は肩を震え上がらせる。
「Though you said like that, why do you do such a thing?(あれほど言ったのに、どうしてそういう事するの?)」
真岼は怒りの表情を向け、武流と統哉は腹を抱えて笑い始め、誠良はため息をつく。

美紅達の外国語のやりとりを見てた香奈は言葉を理解できず、自分に話せないから外国語でやりとりしてるととってしまい、美紅を睨みつけた。
「美紅さんもそうやって私をからかってるんですか?」
香奈の発言に、みんなは香奈を見た。
「な、何でそう思うの香奈?」
美紅は香奈の意見に戸惑い始めた。

「わ、私を可哀そうな人間と思って近づいて、それで人の心をもてあそんでる」
「ちょ、ちょっと間倉ちゃーん。どうしてそういう事言うかな?確かに美紅は変な奴だけど、あいつらとは違うぜ」
統哉が香奈の肩を叩いた。

香奈が更に続けた。
「で、で、でも何で近いところで話しを聞いてるの?」
「それはだな。間倉をどうしようって訳じゃなく、こいつがまた馬鹿やらないか見てただけだよ」
武流が親指で美紅を指しながら、説得にかかる。
「そ、そ、そ、そんな事言って、本当は私をから、からかってるんだ」
香奈は疑惑のまなざしをみんなに向ける。

「ちょっと香奈!どうしてそんな事言うの?確かにグッピーは変だけど、貴方を思ってるからこそよ」
真岼は慌てて香奈に誤解を解こうとした。
「か、花蓮だって、そ、そうやって私に近づいて、わ、わ、私の事をもてあそんで、」
香奈は声を震わせながらみんなに言い、冴は香奈の様子に眉をひそめた。
「だからと言って、俺達があいつらと一緒にされるのはどうかな?」
誠良は右手で頭をかきながら、首を傾げる。
「い、一緒だよ。美紅さんのやってるこ、事をみんなは、わ、私の反応を見てわ、心の中で笑ってるんだ!」
香奈は語尾を大声でみんなに叫んだ。その瞬間、美紅は顔を強張らせ、右手で思いっきり香奈の頬を殴り、
その光景に誠良達は顔を歪める。統哉は「あちゃー」と言いながら、右手で顔を覆った。

美紅は殴った右手を戻し、顔を震わせた。
「香奈、私の事は何て言われてもいい。でもカイ達を悪く言うのは許さない!」
美紅は両目に涙を溜めながら、香奈に叫んだ。香奈は左手で、美紅に叩かれた頬を押さえながら、ゆっくりと美紅に振り向いた。

美紅は怒りに湧いてたが、すぐに我に返った。
「か、香奈、ソーリー。ソーリー。そんなつもりは・・」
美紅は体を震わせながら、香奈の両肩を掴み謝罪する。

「香奈さん。さっきのは言いすぎです。どうしてそう思うんですか?美紅さんは」
音葉が静かに割って入る。
「こ、この世はど、何処に行っても同じ世界が続いてるだけ、私に近づいてくる人間は、わ、私の存在が気に入らないから、消そうとする。私はそ、存在してはいけないんだ。だから花蓮から逃れられない」
香奈は涙を流しながら音葉に主張した。

音葉は香奈の言葉を聞いて、静かに返し始めた。
「私を消そうとする?今貴方も舞子さんにしようとしてるのは同じ事ではないのですか?」
「だ、だから何なの?わ、私もいじめにあってるけど、舞子のように制服隠されたり、教科書汚されたりしてない。私は舞子の立場よりはましな方だと思う」
「貴方!本当にそれでいいと思ってるんですか?気づいてるはずです。本当は心が苦しいと」
「わ、私は舞子に嫉妬してた。そ、それは本当よ。あんなにすごい才能があって、妙子に守ってもらって」
「貴方ももう気づいてるはずです。貴方がどこに居場所を求めるかを」
音葉の言葉に、香奈は美紅の方を向いた。

「ねえ香奈、私の事を信じなくていい。でも私は香奈を信じる」
美紅は右人差し指で香奈の涙を拭きとる。

美紅が更に続けた。
「香奈、あの子達に何を脅されてるの?相談に乗るよ。ね
美紅は香奈に優しく微笑みかける。

香奈は美紅の微笑みを息苦しく思い、目を逸らした。
「無理だよ。花蓮達は絶対に私を逃さないようにしてくる。貴方じゃどうにもできないよ。やっぱりもう構わないでよ」
「どうしてそう言う事言うの?私は貴方の事を思って、あ!」
美紅が香奈の肩を大きく揺らしたが、手が滑って、香奈の体が美紅に密着してしまった。

その光景に誠良達は空いた口が塞がらず、美紅にとっては嬉しい出来事だが、そういうつもりはなく複雑な表情だ
を浮かべた。

「グッピー。あんたわざとやったでしょ?」
真岼が美紅に白い目で睨み、里実も白い目で睨み、武流と統哉は苦笑した。
「No!NOよ!わざとじゃない!ソーリー香奈。大丈夫?」
美紅が香奈を美紅の体からゆっくり離し、慌てふためいた表情を誠良達に向けた。

「や、やっぱりこんな事するために、私に近づいたんだ」
「Noよ香奈。これは事故だって!」
美紅は香奈の両肩を揺らしながら、誤解を解こうとしていたが、香奈は目に涙を浮かべながら、美紅を睨んだ。
「触らないでよ!」
香奈は美紅を突き飛ばし、美紅は悲しい表情を浮かべた。

「わ、私は貴方にこうされるたびに、貴方の顔を見たり、話したりすると、胸が揺れ動くて苦しいの!」
香奈は哀しそうな表情を美紅に向け、香奈の言葉に誠良達は複雑な表情を浮かべた。

「香奈そんなんじゃないって!」
美紅は香奈に一歩近づくも、香奈は美紅から一歩下がる。
「構わないでって言ってるでしょう!貴方なんか、貴方なんか大きらっい!」
香奈は美紅に涙を流しながら叫んだ。

美紅は香奈の言葉が胸に突き刺さり、悲観そうな表情を浮かべ、膝をガクッと曲げ、床に座り込んだ。
「あ、あああ・・ああ」
美紅は言葉に詰まりながらも顔を下に向けながら涙を下に落とした。

美紅の姿を観た香奈は哀しそうな表情を浮かべながら、その場を去った。

誠良は目をつぶって、苦い表情をしながら首を振る。
真岼と里実は座り込んで涙を流す美紅を見て、哀しい表情を浮かべいた。武流と統哉は無言のまま立ちすくみ、音葉は腕を組んで壁にもたれて苦い表情をしていた。

冴がその状況を見て複雑な表情を浮かべながらも、静かに語り始めた。
「カルはそがな事はするつもりはなかったと言っても、彼女に誤解を与えてしまった訳ちゃね。香奈ちゃんって人は西寺達に生かさず殺さずの扱いをされ、誰も信用できんくなった。そこでカルが現れた。香奈ちゃんにとってカルは自分を癒してくれる相手なんやろうけど、外国から来た相手を本当に信用していいかわからん。カルは最初から香奈ちゃんを恋愛対象として見てたんやろうけど、香奈ちゃんはそんなつもりはなかった。でも」
「でも何なんですか?」
冴の最後の言葉に、真岼が問うた。

冴は間をおいて、真岼の問いを語り始めた。
「まだはっきりとは言えんけど、香奈ちゃんにも同じような感情が芽生え始めてるんじゃないかと思う」
冴が香奈の心情を推測した意見に、誠良達は驚きの表情を見せた。

「香奈ちゃんが最後に言った言葉。カルの顔を見てると、胸が揺れ動き、苦しいと言っとったちゃろ?それから考察してみたっちゃけど、西寺達にひどい目に合い、誰も信じられんくなった香奈ちゃんは、突然現れたカルを信じていいか迷ってるとよ。しかも友達と言う一線を超えてる相手だからっちゃね」
冴の言葉に統哉はにやけた。
「うおっ間倉ってレズなのか?いてて」
「統哉さん!その言葉は侮辱に値します」
音葉は統哉の左腕を捻じ曲げた。

統哉は苦笑を浮かべていた。
「すまねえ。悪かった」
音葉はため息をつきながらも統哉の左腕を離す。

冴は香奈の心情を自分なりに解釈しながら、口を開いた。
「いろんな心情があるとよ。香奈ちゃんは付きあった経験はあると?」
「そういえば昨日、美紅から過去に彼氏がいたと聞きました」
里実が答えた。

冴は更に続けた。
「その彼氏にひどい目にあわされたんじゃなか?」
冴の質問に美紅が目を赤くした状態で立ちあがって答えた。
「香奈はそう言ってたわ!」
「それもあるんだと思う。西寺達にひどい目に遭い、その彼氏に裏切られた香奈ちゃんは誰も信じられなくなり、カルを信じていいか迷う。だから少しでも悪い点を目にしてしまうと、そう悪いように思い込んでしまう感情とカルに対しての感情が交錯してるとよ」
冴の説明に誠良達は一応納得した。

納得した誠良達を観た冴は更に続けた。
「制服を隠したり、教科書を汚した事には香奈ちゃんは関わってる。でも一通りを見てみて香奈ちゃん一人では不可能な犯行がいくつもあるとよ。たぶん西寺達が関わってるんやろうけど、その繋がりが見えてこない」
「まあ玉野がわざと問題にしないって事もありますからね」
誠良は頭を掻きながら、首を傾げる。

「私はあの西寺って人が時折恐ろしく思うとよ」
「どうしてですか?あんなお嬢様が・・」
冴に言葉に里実が疑問に思った。

「彼女はいじめに関わってるように見せて、一歩下がってる感じとよ。自ら手をくだしとらんとよ。それに妙子ちゃんに殴られても余裕の表情やった。あの子はなんかあるとよ」
「自分もそう思います。あいつを一年から見て、脅威に感じてるのはそういうのを感じたからです。それが何かははっきりしませんが」
誠良は冴の推察に、自分の意見を向けた。

「でもまあお互いに先に解決する問題があるっちゃろ?行きつくところは同じやろうけど、どっちが早く解決するか競争っちゃね」
冴は誠良達に人差し指を向けてウインクをした。
「そうっすね」
誠良は笑顔で応える。

誠良達が話してる最中に終了のチャイムが鳴った。
「あーあ結局授業さぼっちゃったな。俺達」
武流は両手を頭に乗せる。

「そういえば武流。衛原の携帯返したか?」
「おお、さっき。生徒指導室を出た時に返してたぞ。衛原の奴睨んでたたけどな。ははは」
誠良の質問に武流が笑いながら返答する。

誠良達はそれぞれの教室に戻り始めた。美紅は香奈に言われた言葉が、胸にひっかかって浮かない表情をしてた。


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鍵コメlさんへ

香奈は優柔不断な性格ですが、花蓮達から離れたくても離れられない理由があるんです。
それは先を読んでみればわかると思います。

登場人物を多く書けば、結構大変ですよ(笑)。現在手直ししてる段階なので、新たな文面を付け加えてたりしてます。
貴方が読んでいるところまでは、まだ手直ししてませんね。なんとか追いつきたいと思ってます。
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