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「Music of Life」
CHAPTER2「悲哀の少女・前編」

CHAPTER2「悲哀の少女・前編」30

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 舞子は教室に戻って鞄をとって自転車置き場に歩いて向かっている途中、妙子の停学の事でいまだに自分を責め沈んだ表情を浮かべる。

自分の自転車の前に来た舞子は鞄から自転車の鍵を取り出そうとしたが、自転車の鍵がない事に慌てふためく。
「え、え、自転車の鍵がない!」
舞子は鞄の中を隅々を調べるが、それでも見当たらない。
その様子を舞子の見えないところで生徒指導室にいた理代と美波がいた。

美波は舞子の慌てた行動を見て、不敵な笑みを浮かべていた。
「舞子が校長室に行って、妙子の処分待ちを待ってる時に、あたしらが鞄から取ったとは誰も思わないだろうね」
美波が舞子の自転車の鍵をちらつかせる。

「美波、早く戻らんと!」
「そっか」
理代に促され、美波はブレザーの右ポケットに鍵をいれて、その場を去った。音葉は見えないところで、二人の様子を見ていた。去って行くのを見た音葉は二人が歩いていく方向に先回りをした。
音葉は二人の姿を確認すると、二人が歩いて来る方向に向かって歩き出した。

音葉は歩いて来る美波の肩に接触し、右手で美波のブレザーの右ポケットから舞子の鍵をすばやく奪い取り、音葉のブレザーの右ポケットに入れた。
「あら、すいません」
「ちょっと!ぶつかって来て、ちゃんと謝ってよ!」
「だから謝ってるじゃないですか」
「そんな一言で済ませられないわよ!肩が脱臼したらどうしてくれんのよ!そんな事もわからないの?」
「ふう、全くあの程度でどうやって脱臼するんですか?人間の体はそれほどやわではありませんよ」
音葉は美波の態度にため息をつく。

「肩がぶつかって痛いんだよ!肩が上げられなくなったらどうするんだよ?」
「全くその程度でいきりたつなんて、心の狭いお方ですね。女性の癖に」
「何!」
美波は音葉を睨みつけた。

音葉は右腕ですばやく美波の右腕を捻じ曲げた。
「だったら本当に脱臼させましょうか?」
音葉は冷ややかな口調、鋭い目を美波に向ける。

「音葉辞めろよ!美波もこがな事してる場合じゃなかろう?」
理代が慌てて、音葉を制止した。

美波は痛さで顔を歪ませる。
「わ、わかったよ。離してくれよ」
美波は理代の説得と痛さで、音葉に解いてくれるよう懇願した。それを聞いた音葉はゆっくりと美波の右腕を離すも、美波は音葉を睨みつけてままだ。

「まだ何か用ですか?」
音葉は美波の態度に対して、尖った口調で言い放つ。
「美波もう行くよ。あいつらが待ってる」
理代が美波の腕を引く。
美波は納得しない心境だったが、理代とその場を去った。去った二人を観ながら音葉はため息をつき、舞子のところに向かった。

待ち合わせ場所に向かう途中、美波はぶつぶつと文句を言っていた。
「音葉の奴、秀才だからってむかつくんだよ。それにあんなしゃべり方もね」
「美波、あいつはやばかよ。あんたの肩を脱臼させようと思えばできたよ」
「何でそんな事わかるんだよ?」
「屋上で妙子の腕を捻じ曲げたっちゃろ?しかもあんなにすばやく」
「でも妙子に解かれただろうが・」
「あれは妙子に武道の心得があったからとよ。動き見てわかる。音葉もね」
「そっか。理代ちゃん昔合気道かなんかやってたって言ってもんね」
「今日の屋上の一件でわかったけど、本山も畑鏡は勿論強いが、あたいが気になったのは楷真君達ばい。あの動き見て、ぞくっとした」
「あいつら別にたいした事ないだろ?」
「あたいらが一斉に妙子や舞子を襲おうとした時、何人かが久杉君と高階君にぶつかって倒れたっちゃろ?一瞬だったけど、二人は彼らに何かを打ち込んでいた。楷真君もパンチを一発撃っていたけど、相手は起き上がれなかったやん。それで楷真君を後を追った人は真岼に妨害された時、真岼はそいつの腕をすばやく引いて倒れてたし」
「言われてみればそうだね。楷真達って何か一年の時からよくわかんない連中だったね」
「そうっちゃね。早く急がないと」
理代と美波は走って行った。


音葉は自転車の前に沈んでる舞子に声をかける。
「舞子さん。これは貴方の自転車の鍵じゃないですか?そこに落ちてましたよ」
音葉は舞子に美波達が鍵をとった事を伏せて、舞子に自転車の鍵を見せた。
舞子はホッとした表情で、音葉から鍵を受け取る。

「舞子さん。妙子さんがいつも助けてくれる訳ではありません」
「うん。わかってる」
音葉の言葉に、舞子は小さく返答する。
「舞子さん。妙子さんは不器用ですが、あれほど友のために体を張れる方はそんなにいません。やり方はいただけなかったですが、それは貴方への思いからです」
「でも私のせいで」
「落ち込むのはお辞めなさい。妙子さんはそんな貴方を見たくないでしょう。妙子さんが戻ってきた時にちゃんと笑って、迎えられるようにしないと」
「うん。そうよね」
「妙子さんの行動はあの連中に一石を投げたと思います。でもあの連中は貴方に何かしでかしてくるかもしれません。現時点では妙子さんは貴方を助けられない。でも貴方は一人ではありません。それをお忘れにならないように」
音葉は落ち込む舞子を諭し、舞子に少し笑顔が戻った。
舞子は音葉に「さよなら」と言って手を振り、自転車に乗ってその場を去り、音葉は笑顔で舞子を見送った。

舞子を去るのを見届けた音葉は理代と美波の事が気になり、注意深く二人の行方を追った。
美波と理代がたどりついた先には一美と安恵と武美と水穂、竹森がいた。
彼らの見えないところで武流が小型カメラを彼らに向けて、監視していた。音葉も別の位置で、安恵達を監視し始めた。

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