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「Music of Life」
CHAPTER3「悲哀の少女・後編」

CHAPTER3「悲哀の少女・後編」9

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三時間目始業のチャイムが鳴った。鞄を持ってきた寛斗はシノに舞子の鞄を渡した。
「この鞄で間違いない?」
舞子は鞄を開けて中味を確認した。
「はい、間違いありません」
「それじゃあ行くよ」
シノは舞子を手を引き立ち去ろうとする。
「は、羽島先生。私を何処に連れていくんですか?」
「いいから来て」
シノは舞子の手を引いて、その場から立ち去り、寛斗と隆矢もシノについていった。

「羽島先生!」
優花が叫ぶが、シノに届かず、やがて視界から消えていった。

「あーあ。行っちゃった。まるで過保護な親子ね。あの二人。そう思わない?」
玉野はシノと舞子を嘲笑するが、周囲から白い目で見られる。
「な、何よ。冗談で言ったのよ。わからないの?馬鹿ね」
周囲の反応を観た玉野が慌てて訂正した。

玉野は顔の向きを変えて、香奈に近づいていった。
「全く!あんたがちゃんとやらないから、私が恥かく事になるのよ。昨日みたいにあんただけの責任にすれば、私に被害が少なくてすんだのよ!それにあんた!本年度の教科書代まだ未納なんでしょ?公立だから授業料は無償だけど、教科書代は違うのよ。あんたの親はそんな事も知らないの?そういえば間倉さんって母子家庭だったわね。ふん、そうかあんたみたいな子供にお金を払うのは馬鹿らしいって事ね」
「玉野先生!」
玉野が香奈への支離滅裂な暴言に対し、優花の怒りがこだました。
「や、やだねえ。雪重先生。冗談よ。冗談」
玉野は顔を引きつりながら、優花に答えた。

「羽島先生と堀本さん。間倉さんに対して言った事がどこが冗談なんですか?」
「冗談でしょ?そんな事もわからないの?それでも教師なの?」
優花の怒りの訴えも、玉野は無駄に正当化しているだけだった。玉野のそんな言葉に香奈は下を向いて涙を流す。

美紅はそんな香奈を見て、玉野に近づき鋭い目を向け、その目を見た玉野は一瞬引くが、
「何よ留学生!なんか言いたい事でもあるの?冗談だって言ったじゃない?日本語わからないの?」
玉野は美紅を小馬鹿にした態度で美紅に近づいていった。
「什么玩笑哟。你不明白人的心?(何が冗談よ!貴方は人の心がわからないの?)」
美紅は顔を強張らせて、中国語で玉野に反論した。

「何言ってるのか、わからないわ。日本語話しなさいよ!そうよねえ、中国は日本を嫌ってるからね。日本人は敵だって!貴方の親にそう言われたんでしょ?貴方もそこにいる奴の親と同じように、馬鹿な親なんじゃないの?」
そう言われた美紅は目を鋭く放ち、右拳を玉野の腹に打ち込んだ。美紅の行動に周囲は驚愕した。

「辞めなさい!張さん!」
優花が美紅を止めようとする。

玉野は左手で腹を押さえせき込む。美紅は玉野に近づき、左手で玉野を壁に突き飛ばし、胸倉を掴んで、睨みつけた。

美紅が右拳を振り上げようとしたその時、何者かが美紅の左腕を掴んだ。
「美红先生。明白心情。但是请设置这里。你那样的话,香奈先生悲伤。请看香奈先生。(美紅さん。お気持ちはわかります。でもここは引いてください。貴方がそうすれば、香奈さんが悲しみます。香奈さんを見てください)」
音葉が美紅の右腕を右手で掴み、中国語で静かに説得する。美紅は玉野の胸倉を離し、香奈の方を向いた。

香奈は悲しい目で、美紅を見ている。
「香奈・・」
美紅は香奈の悲しい顔を見て悲しそうな顔を浮かべた。

香奈は微笑を浮かべた後、右手で顔を押さえ、涙を流しながら、その場を走り去った。
「香奈!待って!」
美紅が走り去っていく香奈を追いかけていった。

誠良は追いかけようとするが、真岼が声をかける。
「誠良、私が行くわ。貴方は教室に戻って」
「でもさ」
「こういう事は女の子同士の方がいいって事よ。そうよねまゆ」
里実が横から誠良にウインクした。

しかし真岼は里実に対して、
「里実、いいよ別に」
「そんな事言ってないで、追いかけるよ」
里実は真岼にそう言って、美紅と香奈を走って追った。
“頼みます。真岼さん。里実さん”
音葉は追っていく真岼と里実の後ろ姿を見ながら心の中で語り、教室に入った。

二人を見送った誠良は玉野に近づいていくが、優花が玉野の前に立ち、怒りの形相を浮かべてる。
「玉野先生。貴方は生徒をそんなに卑下して楽しいんですか?」
「別に卑下してないって言ってるでしょ?何度言ったらわかるの?」
玉野はまだ言い逃れしようとしていた。

「玉野先生。さっきあいつに言った事。忘れるなよ!」
誠良は鋭い目を向け、静かに、鋭い口調で玉野に告げた。
「何よ。どいつもこいつも」
玉野は歯ぎしりしながら言った。
「武流、統哉。帰ろう」
誠良は武流と統哉と供に教室に戻った。

「全く。授業時間とっくに過ぎてるじゃないの!貴方達のせいよ!」
玉野は生徒達に罵声を上げるが、優花や生徒達は玉野のそんな行為にもう呆れてる。

「玉野先生。職員室に来てもらいませんか」
声をかけたのは下條だった。隣に松生もいる。
「待ってください。私も授業があるんですよ」
「先ほどの話しは聞かせてもらいました。職員室で話しを聞きましょう」
下條が玉野の腕を引いた。

「下條先生。羽島先生が」
「わかってる。堀本を連れて行ったんだろ?君は授業を始めて」
「わ、わかりました。みんなもう教室入って。授業始めるよ」
優花は持っている教材を右手で叩き、教室に入るよう促し、4組の教室に入った。
「お前らも教室入れ、授業中やぞ」
松生が大声を張り上げ、下條と供に玉野を職員室に連れてった。周囲の生徒は各々の教室に入っていった。

シノは舞子を何処に連れて行ったのか?
香奈を追う美紅。そして二人を追う真岼と里実。
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