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「Music of Life」
CHAPTER3「悲哀の少女・後編」

CHAPTER3「悲哀の少女・後編」10

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シノは舞子を連れ、寛斗と隆矢と一緒に校内を歩いてた。

隆矢が口を開く。
「シノちゃん。舞子を何処を連れて行く気とよ」
「貴方達はもう教室に帰りなさい」
「えー、俺らも一緒に行くとよ。ゲッ!」
寛斗達の行く先に戸元が立っている。その姿を観た寛斗と隆矢は顔がひきつる。

「おまえら教室抜け出して、何処行っとうとか?」
戸元の姿を見たシノはすかさず、
「戸元先生。この二人を連れ帰ってください」
「わかりました。で、この子は?」
戸元は了承するも、舞子の姿を見て、
「ええ、この子はちょっと・・」
シノは舞子の事を話すまいと、押さえた感じで答える。
「わかりました。この二人は連れて帰ります。さあ行こうか」
戸元は舞子に何らかの事情があるのを察し、それ以上は聞くまいとした。

戸元は寛斗と隆矢を連れていこうとする。
「ちょっと!俺らが何でここにいるか聞いてよ」
「わかったわかった。後で聞いてやる」
寛斗がふてくされた表情になるも、戸元は二人の手を掴み、その場を立ち去った。
「シノちゃーん」
隆矢が笑顔でシノに手を振りながら、戸元に引っ張られていく。

戸元に連れ帰られる二人を見送って、シノはすぐさま舞子の手を引いて、足早に移動を始めた。
「せ、先生。何処に連れていくんですか?」
「もうすぐよ」
舞子の質問に、シノは歩きながら一言で返した。

やがて舞子とシノは音楽準備室と書いてあるボードが貼ってあるドアの前に立った。
「先生。ここは?」
「舞子ちゃん。しばらくここにいて」
シノはドアの錠に鍵を差し込み、ドアを開けた。
「さあ、舞子ちゃん。入って」
シノは中へ導こうとするも、舞子は下を向いて入ろうとしない。
「どうしたの?入りなさい」
シノが中へ入る事を促そうとする。
「あ、あのー。ど、どうして私のためにこ、ここまで」
舞子が申し訳なさそうな表情になる。
「舞子ちゃん。私は貴方が教室にいるのは現時点で良くないと思ったからよ。教室に戻りたい?」
シノは舞子の左肩に右手をかける。
「い、いえ。戻りたく・・戻り辛いです」
舞子は声を震えながら答える。
「じゃあ、しばらくここにいて」
「で、でも」
「ん?」
「先生。こんな事して・・立場がまずくないかと・・」
舞子はシノに心配そうな表情を向ける。

「気にしなくていいよ。ここにいて。それからお母さんにこの事知らせたいんだけど」
「い、いえ。母には知らせないでください」
「どうして?」
「心配かけたくないし、事を荒立て・・たくないし」
舞子は恵美を気遣う。

「舞子ちゃん。いじめられるって恥ずかしい事じゃないのよ。あんなにひどい事する人達は許せない!」
「で、でも先生が」
舞子はシノの事を思い、浮かない表情を浮かべた。
「先生の事は気にしなくていい。だからここにいて。先生がなんとかするから」
シノは舞子の顔をまっすぐ見て、笑顔で説得した。舞子は申し訳なさそうな顔を浮かべながらも、音楽準備室のドアをくぐった。

「それじゃあ舞子ちゃん。私は職員室に戻るから。鍵は閉めておくね。トイレに行きたかったら、近くにあるけど、周りを見てね。それと入ったら鍵は閉めるのよ」
「は、はい」
舞子は小声で返事をした。シノはドアを閉めて、鍵をかけた。

シノは職員室に戻った。授業があって教師の人数は少ない。奥で教頭と玉野が話している。そばには下條と松生がも一緒だ。

シノの姿を見た下條が、シノに近づいてきた。
「羽島先生。堀本をどこに連れていったんです?」
「ええとそれは」
下條の問いに、シノは答えられない。
「全くこまりますね。幸い貴方の授業が入ってなかったからいいものを」
「申し訳ありません」
シノが下條に頭を下げた。
「貴方の気持ちはわかりますし、あのクラスは色々と問題が多すぎですよ。担任の玉野先生もあれではね」
下條が玉野の方を見ながらシノに語った。

「下條先生。玉野先生はどうなるんです?」
「わかりませんね。担任を変えると言う話しがありますが、本人は下りる気がないと言ってますしね」
「駄目ですよ。あの人に任せてられません!」
シノは下條に強い口調で言い放った。
「わかりますが、そう簡単にはいかないのです。ましてや貴方は学術機関の人間ですから、下手をすればそちらとの摩擦になりかねません」
「ですが私は」
「口には出したくありませんが、貴方は堀本に対して、他の生徒以上に接し方が深く見えるんです。堀本が被害に遭わないように、連れ出したのはわかりますが、堀本だって授業に出なければ単位をもらえません。その責任が取れるんですか?」
下條が眼鏡のフレームを右人差し指で上げながら、鋭い口調で問い、シノは沈んだ表情を浮かべた。

しかしすぐに下條はシノの行動を汲んだ発言をし始めた。
「ま、今の堀本にはあのクラスには近づけさせられないと言うのはわかります。しばらくはその方が堀本にとっていいかもしれません。それと親御さんへの連絡はしたんですか?」
「いえ、堀本さんが連絡しないでほしいと言いましたので。でも正直迷ってます」
シノは戸惑いの表情を浮かべる。
「学校内で解決したいと言うのが、校長や教頭の考えでしょうからね。こういった事が外部に漏れて、この学校の評価を下がるのは避けたいでしょうから。生徒のいじめだけでなく、教師まで絡んでるとなると」
下條は右手で顎を当てる。
「でもこのままではいけません。私もこの問題が早く解決して、堀本さんを教室に戻してあげたいんです」
「わかっています。後は校長と教頭の判断を待ちましょう。ご両親への連絡は待ってください」
「わかりました」
シノは表向きは了解したが、複雑な表情だった。

舞子への思いと立場に揺れ動くシノ。
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