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「Music of Life」
CHAPTER3「悲哀の少女・後編」

CHAPTER3「悲哀の少女・後編」11

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美紅は香奈を追いかけ、人の気配がない校舎に入りこんだ。香奈が隅でしゃがみこんで、顔を両手で覆いすすり泣きをしていた。

その姿を見た美紅は唇を震えながら、ゆっくりと香奈に近づいていく。
「香奈・・」
美紅は右手で香奈の左肩にゆっくりと乗せた。香奈は変わらず同じ状態ですすり泣きをしている。
「香奈、さあ立って」
美紅は香奈をゆっくりと立たせる。顔を覆ってる両手を片方からゆっくりと外し、そして垂れてる前髪を左右にかき分けた。

香奈は泣きはらした顔をしている。
「香奈・・」
美紅は香奈の顔を見て、両眼を閉じて体を震わせた。
「辛いよね。本当に辛いよね」
美紅は下を向き、涙を流し始める。玉野に暴言を吐かれ、心を傷つけられた香奈を見て、悲しくなったのだ。
「美紅・・さ・ん・・。うう、ぐすん」
香奈は涙声で呼びかけた。
「ご、ごめんね。貴方に・・。貴方に迷惑かけて」
「いいのよ。辛い時は泣いていいのよ。私がそばにいるから。そばにいるから」
美紅は香奈の悲しみに応える。

やがて遅れて真岼と里実がやってきた。
「グッピー」「美紅」
真岼と里実は声をかけるも、香奈の悲しんだ表情。それに応える美紅の表情を見て、言葉が出なくなる。

真岼と里実の姿を見た美紅は、
「まゆ、里実。授業はどうしたの?」
美紅の問いに二人は美紅の状態を見て、言葉に出せなかったが、
「貴方達をほっとける訳ないじゃない!」
里実は思いきった感じで答えた。

「ご、ごめん。真岼、里実。ううう」
香奈は右手で涙を拭きながら、泣きながら真岼と里実に謝った。
「香奈、気にしなくていいよ。あんな事言われて私達も黙ってられなかったし」
真岼は香奈を気遣った。
「香奈、ソーリー。私の変なとこ見せちゃったね」
美紅は涙を流しながら、笑みを香奈に送った。
「ううん。いいんだ。美紅さんがわ、私の事で怒ったんだから。だから去り際に少しでも笑みを送れた。でも悲しみの方が増して、貴方にそんな姿を見られたくなくて。つい」
「貴方が悲しんだから、私は貴方を追ったのよ。私は貴方の朋友(ポンヨウ)だから、朋友は中国で友達と言う意味よ。悲しんでる友達を放ってはおけないよ。そうでしょ?」
美紅は両手で香奈の顔をこちらに向け、笑顔で語りかけた。

「わ、私。お母さんが嫌い。お金をほとんど持って行って出て行ったし、教科書代とかも払わずにね。玉野先生の言う通り、私はできの悪い娘だと思う。お母さんが出て行く前に私に暗いとか言われていたし。でも家庭環境が悪くなる前はお父さんもお母さんも優しかったし」
香奈は涙声で美紅達に語りかける。
「香奈、貴方のお母さんもお父さんも望んでそうなった訳じゃない。状況が悪くなって、自分しか見れなくなったのよ」
「う、うん。そうだね。私、学校辞めてもいいと思ってた。でも今はこの学校にいたい。だって。だって」
「だって何?」
美紅は笑顔で香奈に問う。
「だって。美紅さんがいるから」
香奈は笑顔を美紅に向ける。
「ありがとう」
美紅は笑顔で礼を言って、香奈をゆっくりと抱きしめた。美紅の行為を見た真岼と里実は美紅に下心がない事がわかっていたため、何も言わず、笑顔を送った。

里実はそんな二人の仲を大事にしたいと思いつつも香奈に問い始める。
「香奈のお母さんの事。学校に言ったの?」
「ううん。言ってない。もし言えば施設に行く事になるかもしれないけど、周りに私の状況知られたくないと言うのがあって」
「そうだね。お母さんの事を学校に言ったら、間違いなく行政に通告が行くだろうし、香奈のお母さんネグレクトだから警察まで行くだろうしね。そうしたら香奈は学校にいづらくなるだろうし」
里実は香奈の状況を聞いて、なんともできない状態に下を向いた。
「え、私にお母さんがいない事、知ってたの?」
「ごめん。この前美紅と香奈が話してるのを聞いてしまったんだ。聞くつもりなかった。本当にごめん」
里実は香奈に謝った。本当は調査の段階で知っていたが、このように弁解するしかなかったのだ。

「うん。別にいいよ。美紅さんの友達だから、大丈夫だと思う。実は私の両親の事話したの美紅さんが初めてなんだ。美紅さんもそれなりに複雑に生きてきたのがわかったから、つい話してしまったよ」
香奈の顔が泣き面から笑みに変わり始め、それを見た美紅も笑顔になった。

「香奈、その事を他に知ってる人はいないの?」
「知ってるのは花蓮と一美と安恵くらい。理代と美波達は知らないと思う」
真岼の問いに香奈は顔をしかめながら返答した。
美紅は香奈の顔を優しく抱き寄せて、胸に埋まらせ、頭を優しく撫でた。

そして真岼と里実に顔を向け、目を鋭く向けた。
「我想说什么,明白?(私が何を言いたいのか、わかるね?)」
口調を柔らかいが、目を鋭さから、美紅の悲しみ、怒りを二人は感じとっていた。
「明白(わかるわ)」
真岼は真剣な表情で答える。

「過一會談詳細(詳細は後で話すわ)」
「明白。我們也你的考慮和同感喲。(わかってる。私達も貴方の考えと同感よ)」
里実も美紅の気持ちを察し答えた。二人は美紅が香奈を顔に胸に埋まらせたのは、美紅が香奈にそのような目つきを見せたくなかった事と柔らかい口調で中国語で言ったのも、内容と声で怒りを表現させたくないと言う配慮だと言うのを察した。

美紅は香奈の顔を胸からゆっくりと離した。
「さあ、そろそろ帰ろうか?」
美紅は香奈に笑顔を向けて、手をつないで廊下を歩きだした。真岼も里実もそれに続く。そして三時間目終了のチャイムが鳴った。

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~ Comment ~

No title

私も子供の頃、先生や生徒に軽くいじめられてましたが、こんなふうでは……。
――この学校は何かあるんでしょうか。

美紅の心に、恋愛以上の優しさを感じます。
最初の猛アタックが惜しまれるなあ。
まずは朋友になってから、もっと先に進めば……
あ、そうか。美紅はそういう恋愛が長かったんでしたね。

ライトさんへ

学校ではなくて、人なんです。学校や会社は人が作るものであり、築くもの。
このようにおかしくなってるのは一部の愚鈍な人間達がおかしくしたからです。
その波に妙子や舞子、そして香奈が巻き込まれた訳です。

「そういう恋愛が長かった」と言ってましたが、ずっと前の記事で誠良と真岼が美紅の事を話してた内容の事を言ってるのでしょうか?

美紅は容姿も良ければ、金もある完璧な美女です。よって来る人間も多かったでしょう。
そういった人達のせいか、美紅は恋愛の仕方が自己流だったんですね。
そんな美紅でも本当に好きな人ができてしまった。人は本当に好きな人が相手だと、自分をどこか抑えるみたいなんです。
美紅もそういった恋愛が長かったせいで、悪い癖が出てますが、相手を思うが故、どこか慎重になってるんでしょうね。
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