「BLACK PARKA -ブラックパーカー-」
古都(みやこ)の女

古都(みやこ)の女-12

 ←古都(みやこ)の女-11 →8月になりました。2017年。
樹里は喫煙室で自分と京香の荷物を持ち、煙草を吸っていた。そこに京香が入ってきた。
「誰もおらへんな」
「荷物二つ運ぶの結構きつかったんですけど・・」
「そりゃあんたが煙草吸う言うたからやろ?荷物をそのままにしておけへんやん」
「それはそうだけど、何処行ってのよ」
「それはこれが目的や」
京香は樹里に麻里から掏った財布をポケットから見せる。

「え!それ財布?掏って来たの?」
「アホ!声がでかいわ」
樹里の甲高い声に京香は慌てて注意する。

「詐欺師は掏りもやるんだ?」
「何かを奪うには、人を欺く事が必要や。掏りもある意味詐欺と一緒や」
「そうなんだ。で、財布盗ってどうすんの?カードかとのデータを盗むの?」
「いや。これ今からフロントに届けるんやけど・・」
「はあ!意味わかんないっすけど・・」
京香の行動に樹里は飲み込めずにいる。

京香は気を取り直し、口を開く。
「つまりや。さっき奴とぶつかって、その隙に財布を盗った。盗るには他のものを考えたが、最適なのは財布や。財布は金銭が入ってるし、生きていくには重要なもんや。だから財布が無くなっている事がわかれば慌てだす。そして財布を届けて、それを届けた本人がさっきぶつかった奴とわかれば、印象が変わり好意的になる筈や。そうしたら奴に近づきやすくもなる」
「近づくって?誘い出すならあいつの弱みをネタにして誘い出せばいいじゃないの?」
「それもあるけどな。投げやりで垂れ込まれる可能性がある。そうしたら仕事に支障が出るやろ。相手を嵌めるんやったら心を許した方がやりやすくてな」
「京ちゃんらしいやり方だね」
「そういうこっちゃ。ほな行くで。あたしが財布持ってる事がわかると、時間が経てば経つほど、疑心に満ちてくるからな」
「はいはい」
樹里は煙草を水の入った灰皿に捨てて、荷物を持って喫煙室を出た。

フロントに入った京香が手続きを始める。
「予約した金田京子と言いますが」
「金田様ですね。二名様の予約と伺っております」
京香は尾田京子と言う名で予約していた。

「あの・・」
「はい」
「これが落ちていたのですが」
京香が麻里の財布をフロントに差し出す。

「これを何処で?」
「あそこのエレベーターのホールでぶつかって、その際に落ちていたんです。財布を落とした事を告げようとしたらもう姿がないので、こちらに持ってきました」
「財布の中身を見ましたか?」
「いいえ。人のものだし見ていません」
「わかりました。落とし主が判明し、金田様にお礼等の連絡を差し上げたいと申されれば、貴方様のご連絡をお教え差し上げてもよろしいですか?」
「ええ。構いません」
「わかりました。ではごゆっくりとおくつろぎくださいませ」
京香はカードキーを受け取り、樹里と供に部屋に向かった。

7階でエレベーターを降り、指定の部屋のドアをカードキーで差し込み、ドアを開けた。
「へえ結構いい部屋じゃん。私こんなところに泊まった事ないよ」
「あたしもないわ」
樹里の問いにそっけない返しをした京香は煙草に火をつけた。

樹里はベットに腰掛ける。
「そんで葛沢麻里から連絡来るかな?」
「そらわからん。来なかったら別の方法考えるまでや」
「考えてるの?」
「そりゃどうやろな」
京香は煙を吐きながら、返答する。

しばらくすると京香の携帯に着信が鳴り、京香は煙草を灰皿に揉み消しながら携帯を手にする。

画面を見ると登録していない番号だったが、
「これは葛沢麻里の携帯番号や」
京香は麻里の携帯番号を以前からの調査で記憶していたため、登録外の番号でも動じる事はなく、携帯の画面のONをタップした。


麻里からの接触。
二人は標的に近づける事ができるか?
よろしければポチっと。

スポンサーサイト


総もくじ 3kaku_s_L.png 私事
総もくじ 3kaku_s_L.png BLACK PARKA -ブラックパーカー-
総もくじ 3kaku_s_L.png 短編、SS、読み切り
もくじ  3kaku_s_L.png はじめまして
総もくじ  3kaku_s_L.png 私事
総もくじ  3kaku_s_L.png BLACK PARKA -ブラックパーカー-
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編、SS、読み切り
  • 【古都(みやこ)の女-11】へ
  • 【8月になりました。2017年。】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【古都(みやこ)の女-11】へ
  • 【8月になりました。2017年。】へ