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「BLACK PARKA -ブラックパーカー-」
古都(みやこ)の女

古都(みやこ)の女-18

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樹里と京香はチューハイを飲みながら雑談を交わしている。

樹里が小さくなった煙草を灰皿に揉み消す。
「ところでさ、京ちゃんって、どうしてこの仕事しようと思ったの?」
「あんたもそうやと思うけど、おっさんやおばはんからのスカウトや。あたしは以前振り込め詐欺をやっていたけど、あたしらのグループで良からぬ事を企んでいて、あたしを陥れようとしてたんや。それをおっさんらが察知して、そのグループの人間を始末したんや。その過程であたしの事を知って、仲間に入れようとしたんや。断ったらそいつらと死体になってたし、半場強制やったけどな」
「そうなんだ。私と一緒だね。私、両親が小学校卒業する時に離婚して、それからずっと母子家庭だったのね。お母さんが看護師だったけど、激務だったし、それでいつも私に当たっていた」
「まさか・・折檻されてたんか?」
樹里の言葉を聞き、京香は意外な表情を浮かべ、迷いつつも切り出した。

京香の問いに樹里は返答し始める。
「うん。テストで点数とれなかったらいつも叩かれていたし、ご飯だって抜きにされる事もあった。でもそのおかげでそこそこの高校には行けるようになったんだけど、でもそういう事があってか学校でも友達がなかなかできなかった。修学旅行とか行った事もないしね。まあ面倒臭いからいいやって思ったけど、高校の時に二年で進路別になるんだけど、私は文学や画家になりたいと思って人文コースを選んだけど、母が勝手に医療系にしたのよ。それで看護実習がうまくいかなくて、クラスメイトと喧嘩して怪我させて、停学になって、その事知った母にまた折檻されそうになったけど、その時、元々あった殺人願望が私の中で渦巻いて、お母さん殺したの。それで以前から私の事を見ていたあの人とコンタクターにスカウトされたのよ。その人達は元々お母さんが標的だったみたいだからね。」
「そこらへんもあたしと一緒やな。で、何でお母さん標的になったんや。あ、機密やから知らんわな」
「そうだけど、その時は特別に教えてくれたんだ。お母さんはいつもお金がないと言っておきながら、病院の医師と不倫してお金ももらってたらしいの。私に対してはお金をあまり使わず、ブランドものばっかり買ってたんだ。それに私を虐げてる事もあって、“休暇付与”対象になったって言ってた。本来は私に知らせる事なく、殺すみたいだったけど、私のこの性質を見て、あの人らは私の方を見極める事にしたって言ってた」
樹里はスカウトされた経緯を語り、京香が頷く。

京香が更に問う。
「あんたの何がおっさんらの関心を引いたんや?」
「たぶん私が動物殺したり、ネットに殺人の絶賛する事を投稿したからじゃないかな。それで京ちゃんはどうしてあの人達に目をつけられていたの?」
樹里が返答し、次に京香がどうしてスカウトされるきっかけになったかを問い始める。

「あたしはさっき言ってたように詐欺やってたやろ?ああいう世界は金がぎょーさん動くし、トブ奴も多いねん。だが、あたしは仕事にやりがいを感じてたんや。ちゃんと忠実に言われた事を守り、高校生やったけど、受け子からかけ子もするようになったんや」
「それってすごいの?」
「ここ数年の振り込め詐欺は会社組織化していてな。髪染めるのも目立った格好。まあ不良やったら喧嘩や飲みもやったりするけど、それもご法度や。受け子や出し子は組織の下層で、かけ子は組織では上の方になるんやで」
「へえすごいじゃない」
「でもな。うちのグループはかけ子、受け子と同一化していてな。騙す相手によって受け子、かけ子の役割が変わるねん。あたしも色んな事やってたんや。電話するかけ子、対面してお金を受け取る受け子も多様な演技が求められるから、同一化してたって言うのもあるけどな」
「そうなんだ。それで相手と何事もなく渡り合っていけるんだね。でもどうしてそのグループかで反感持たれるようになったの?」
樹里は煙草に火をつけながら質問する。

京香も煙草に火をつけながら話を続ける。
「自分で言うのもなんやけどな。優秀過ぎて危機感抱かれとったんや。ある日あたしが受け子で金を受け取って、ホテルのトイレにメッセンジャーに金を運ばせる事になったんや。トイレの個室に入ってドアから手を伸ばして、受け取った金を鞄ごと渡したけど、そのメッセンがトンでしもうたんや。その責任をうちに被せようとしてグループで責められたんや」
「それってメッセンって人が悪いんじゃない?」
「そうや。でも色んな言いがかりつけてあたしのせいにしようとしたねん。ほんまやったらメッセン追うのが筋やけど、グループの皆はあたしを責め、暴行を加えた」
「でも何で京ちゃんがそんな事に・・」
京香の話を聞き、樹里が悲しげな表情を浮かべる。

「まああたしも色々意見しとったからな。受け子の場合は多少変装もした方がいいとか言ったりしとったからな。周りにとったら疎ましかったんやろうな。でもまあこういう仕事やし捕まらんようにせなあかんと思ってたからな。捕まったら損害やし、拠点も閉めなあかんからな」
「そのメッセンジャーどうなったの?」
「あたしがやばくなりそうになった時におっさんやおばはん。“依頼人”が現れて、実はそのグループの店長がメッセンに姿消させたって言ってたわ。それに脅してやらせとったらしいからな。あたしはよう知らんけど、消されなかったんとちゃう」
「知られたら今頃そのメッセンって人も死んでた筈だよね」
「せやな」
京香は煙草を揉み消した。

「さあもう寝よか。明日が正念場やで」
「うん。明日が楽しみだなあ」
樹里は顔をにやけながら、ベットに入る。そんな樹里を見て京香は小さく微笑んだ。


樹里と京香の会話が終わる。
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