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「Music of Life」
FINAL CHAPTER「親愛の贈曲」

FINAL CHAPTER「親愛の贈曲」37

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香奈が水鳥の言葉に驚いた表情を見せる。
「か、楷真君のお父さんが・・お父さんってどういう人なの?」
香奈の問いに誠良、麻岼、美紅は口を閉ざす。

その様子を見た水鳥は口を開く。
「楷真君達にとったら、なんて事ないけど、間倉さんにとったら驚くわよね。私達はね、世間における人間達のトラブルを滅する組織の人間よ。そして楷真君のお父さんはその組織のトップに立つものよ。彼こそが真の“D”であるのよ。“D”となれば法にとらわれず動く権力などが得られるし、あらゆる特権も得られる」
「その反面、“D”となればそれなりの責任が伴うのよ」
「そうね。失敗すれば批難、失脚がついてまわる。冷奈、今貴方が“D”なんでしょ?大変だよね」
水鳥は馬鹿にするような態度で冷奈を冷笑した。

会話を聞いてた香奈が口を開く。
「今この人が“D”なら、楷真君のお父さんはどうなったの?」
香奈の発言に誠良達は無言のままだ。

誠良達の様子を見た水鳥は、
「そりゃ言えないよね。私から話そうか?」
「水鳥、貴方は喋りすぎよ!」
冷奈はすばやく右手でスーツの胸ポケットから何かを取り出そうとする。

その瞬間、バスッと言う音が響き、冷奈は右肩を負傷し、地面に倒れる。
「あああ・・・ううう・・」
冷奈の右手の近くには拳銃が落ちている。冷奈は左手で出血する右肩を抑え、苦悶の表情を浮かべる。

「高城さーん」
誠良は叫びながら、麻岼と冷奈の元に駆け寄る。
「高城さん。しっかり!」
麻岼が苦しむ冷奈に声をかける。

「楷真君。冷奈の持ってる拳銃をこっちに蹴って」
水鳥の声に振り向いた誠良は、サイレンサー付きの拳銃が目に入った。
冷奈を撃ったのは零一だった。

「あわわわわ・・・」
勝司と久代はこの状況に震えている。

「さあ早く。銃をこっちに蹴りなさい!さもないと」
水鳥は冷奈の右手に落ちている銃を蹴るように促し、零一の銃口は美紅と香奈の方向に向けられている。

香奈は美紅を抱きよせながら震えている。
「こ、ここ日本だよね。な、何で銃が・・?」
「間倉さん。ここが日本でも私達のような人間なら銃だって手に入りやすいのよ」
香奈の疑問に笑顔で返答する水鳥。

誠良は状況を考慮し、冷奈の持っていた銃を右足で水鳥の方向に蹴った。銃は水鳥の足元に届き、それを水鳥が右手で拾った。
「さあ間倉さんは何で今の“D”が冷奈なのか?知りたがってるわね」
「み、水鳥。こ、これ以上は!」
苦悶の表情で訴える冷奈に、誠良は右手を出して制止する。

誠良が浮かない表情を浮かべながら口を開く。
「殺されたんだよ。親父もお袋もな。一カ月前に起きた無差別テロでな」
「え、え、え、わ、私そんなつもりで・・は。ご、ごめんなさい」
誠良の返答に香奈は下を向いて、悔いた表情を浮かべながら涙を流す。

悔いる香奈を見ながら誠良は穏やかな表情を向け語り始める。
「いいんだよ。君は両親を亡くした真相を知ったばかりだしな。それには俺にも責任がある。一か月前の春休みに俺とまゆとグッピーはロンドンに行ってたんだ。俺達は観光がてらだったが、親父とお袋は会合の関係で仕事に行ってたんだ。だがその会合場所が爆発を起こした。仕掛けられた爆弾と自爆テロによって100人近くの死者が出た。現場は悲惨な状況で遺体の判別もつかない状況だった。犯人は特定したが、非公式でこのテロを手引きした人間がいる言う情報があった。俺達は高城さん達に関わるなと忠告を受けながらも非公式で調査してた。だが未だにそいつは誰かは判明してないけどな」
「私達よ」
水鳥はあっさりと告白した。

それを聞いた誠良は怒りの表情を向ける。
「な、何故だ。親父があんたらを抹殺しようとしたからか?」
「それは違うわよ。あの人に恨みなんかない。むしろ尊敬の念があるわ。ただ利害の一致と言う事かしら」
水鳥は関わっていた事を語るも、深い部分までは語らなかった。

そんな様子を見た美紅は香奈に声をかける。
「香奈。カイは私に配慮して話さなかったけど、私の母もそこにいたの」
「え?本当なの?」
「本当よ。母はカイの両親と仕事をする事が多かったの。だからロンドンでの仕事も一緒だったの」
「そんな・・」
「香奈。貴方を母に会わせてあげたかったわ」
美紅は涙を流しながら、香奈に告げた。

そんな美紅を見て香奈は、
「美紅さん。親の事話さないから、聞いたらいけないと思ってた」
「谢谢(ありがとう)。感謝するわ。私も貴方にももう親はいない。でも私にはカイもまゆもいる。そして貴方がいる。亲爱的你(愛する貴方が)」
「I love it, too.(私も愛してる)」
美紅と香奈は涙を流しながら、互いに抱きよせ、唇を交わした。


緊迫した状況で、微かに生まれる愛と希望。
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~ Comment ~

NoTitle

冷奈さんはそれでDになったのか……
誠良くんたちも美紅ちゃんも親を亡くしたばかりだったのですね。
完全に向こうのペースで進んでいますが巻き返しがあると信じます!

椿さんへ

誠良がその歳でああいった仕事があるのは、父親の関係があるからとも言えますからね。
他の仲間も親がいません。ああいった仕事をさせたい親はいないでしょうから、誠良の両親はそういった機関の関係者になった訳です。
相手は誠良達よりもかなり先にいくプロですからね。私もどうやってこの二人を裏をかこうかと悩んでるところです。
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