「Music of Life」
FINAL CHAPTER「親愛の贈曲」

FINAL CHAPTER「親愛の贈曲」38

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美紅と香奈は交わした唇を離し、互いに向き合い微笑んでいる。

その様子を見た水鳥は、
「よくやるわね。同性ならずとも異性同士でも照れるんじゃない。でも先生は不純交遊は許さないわよ」
水鳥は冗談じみた感じで美紅と香奈に言い放った。

それを聞いた香奈は水鳥を睨みつける。
「何が不純交遊は許さないわよよ!お父さんとお母さんを殺した人に言われたくない」
「別に冗談で言っただけよ。こういった状況なのによくやるなあって。でもここから生き延びられたらの話だけどね」
「生き延びるわよ。この人は私に生きると言う事を教えてくれた。だからこれからも!」
「まあ頑張りなさいな」
香奈の発言に冷笑を浮かべる水鳥。

香奈の発言に、美紅は心配そうな表情を浮かべる。
「香奈。駄目よ挑発したら」
「うん。怖いけど、美紅さん、いやカル・・」
「どうしたの?」
「いや・・もう美紅さんって呼ぶのも、なんか遠慮してる感じだし」
「じゃあグッピーって呼んで」
「うん」
香奈は笑顔で返答した。

二人の様子を見守った誠良は零一と水鳥に顔を向ける。
「俺達がこういった仕事してるし、親父はその組織のトップに立つ人間だった。だから許しがたい事を行っていただろうと思ってた。だがあんたらのやり方は組織の意に反する。だから親父はあんたらを消す決断をせざるを得なかったんじゃないか?」
「そうねえ。貴方の父親は“生かさず殺さず”がモットーだから、それに殺しもする私達は相いれないでしょうね。でもお父さんの事嫌いじゃなかったわよ」
「じゃあ何で親父はあんたらを抹殺する決断をしたんだ?まさか・・俺がさっき話したあの件に関係あるのか?」
誠良は父、隼人が何故、零一、水鳥の兄妹が抹殺を決断せざるを得なかった理由が、その件に絡んでいるのではないかと思い、その事を水鳥に問い始めた。

水鳥が返答を始める。
「まあそうねえ。その件についてはさっき楷真君が話したように、痛ましいものだったわ。とある母娘は震災で家がなくなり、つてを頼ってこの夢富町へやってきた。ところがこの少女に対しては差別だった。その母娘が住んでいたところは原発の施設があった地域でね。震災の影響で施設が倒壊して、放射能が漏れたのよ。その事もあって少女はいじめに遭った。きっかけは子供の些細な事からだけど、やがてそれはその地区全土に広まった。少女は孤立し、母親も抗議もしたが、学校は体裁を気にして取り合わず。母親は苛めた子の親に抗議するも、逆にその親達から抗議を受け、少女への苛めも止まらず、やがて母親は心臓が悪かった事もあって、心労で逝去。しかしその少女への苛めは止まらなかった。少女はやがて高台から飛び降り自殺だけど、事故として片づけられた」
「ひどい・・」
水鳥の話に香奈は沈んだ表情を浮かべる。

水鳥が続ける。
「痛ましいわね。でも真相は違う。クラスの何人かかが少女を高台に追い詰めて、少女は足を滑らせて転落。まあ事故としては事故だけど、過程からすると今までの事が表沙汰になるのはまずい。しかし何らかの形で一介のジャーナリストに漏れてしまい、この事がマスコミに漏れる事になった。でもこの件はさっき楷真君が話したように、即座に夢富町の議会で手を打たれ、マスコミに封じる事に成功した。そしてその地区でも回覧板でマスコミ対策についての冊子が配布された。まあマスコミが来ても知らぬが存ぜぬが返答しろと丁寧に書かれた文面がね。実はあの地区では事業が絡んでいたの。この件が漏れれば頓挫の可能性があった。その事業に絡んでいたのは西寺花蓮の父、西寺宗彦。そして谷尾さん。貴方のお父上も利権に絡んでました」
「え、俺の親父が、その件に・・」
水鳥の発言に勝司は意外そうな表情を浮かべる。

事業の件を聞いた誠良が水鳥に問う。
「俺の親父もその件に絡んでいたと言うのか?」
「確かにお父さんは隠蔽に絡んでいたけど、その事業が理由じゃない。簡単に言えばその件に関わった人間達の破滅をさせるためよ。まあある事をでっちあげて、一つの家庭を崩壊させるとかね」
「そういえば親父から、ある一家の家庭を崩壊させる工作をやってみろと提示された。それでまゆと準備したら、突如中止命令が出た」
「そりゃ出るでしょうね」
「それはあんたらがその関係者達の家族を繋がりのない犯罪グループを手引きして殺害、詐欺、強盗を企てたからじゃないか?」
誠良は水鳥に対し、感情的にぶつける。

「そうね。“依頼人”はこの事を知って憤ってたわ。隠蔽されて加害者達はのうのうと生きる事にね」
「でも親父が!」
「“依頼人”はね。命の対価に家庭崩壊じゃ生ぬるいと言ったのよ。間接的にとは言え、母娘の命がなくなっているんだから、それに対する対価は命を奪う事だってね」
「だからその地区の何人かの家族を・・」
「そうねえ。でもお父さんが楷真君と河奈さんに工作中止命令が出た原因はこれだと思うな」
水鳥はそう言ってタブレットをタップして、誠良達にその画像を提示させた。


水鳥が誠良達に提示した画像とは?
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~ Comment ~

NoTitle

そうだ、依頼人がいるんでしたね。
二人に依頼をした人物はいったい誰なんでしょう。

椿さんへ

”依頼人”とはこの二人に依頼した意味でもありますが、その人物のコードネーム的役割でもあります。
近々出てくるでしょうね。ちなみに”依頼人”は「BLACK PARKA」に先駆けて登場してます。でも断片的でしかわからないように書いてますけどね。
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