「Music of Life」
FINAL CHAPTER「親愛の贈曲」

FINAL CHAPTER「親愛の贈曲」39

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水鳥は誠良達にタブレットの動画を見せる。その動画は女性が涙を流しながら訴え続けていた。
『娘が何をしたって言うんですか?娘はまだ10歳なんですよ!娘の命を奪ったのが少年であっても、娘はもう帰って来ません!娘を返してください』
動画の女性は涙ながらに、娘の死を悼み、訴え続けている。
「まあ本来なら理不尽に殺された娘を嘆き、悲しみ、そして怒りを表現する悲哀の母親だけど、私から言わせると自分の事を棚に上げてよくこんな事言えるわ・・と思うわ」
水鳥の言動に周囲が凍りつく。

「でも私が何故、こういう事言うのがわかるわね?楷真君?」
「亡くなった少女は事故で死なせたグループの一人。そしてそのグループの女の子の母親。そして母親も抗議した母親を心理的に追い詰めたママ友の一人だからだ」
誠良は水鳥の問い、言動の理由を述べた。

「その通りよ。これは世間一般では一人の少女が行方不明となり、その二日後全裸で惨殺死体で見つかった。警察は捜査の結果、一人の男が浮上した。その男は18歳の少年。この少年は両親から厳格に育てられ、内向的な性格になった。小学校の時、女子にからかわれ、女性不信に陥り、以後親しい友人もできず、やがて幼少の女の子に興味を示す。高校は中高一貫校の進学校に通ってたが、ある日児童ポルノを手に持っていた事が警察に知られ、書類送検される事になり、密かに退学。しかし父親が有能な弁護士を雇った事で、不起訴となった。これが遠因となり両親は離婚。少年は母親に引き取られ、ますます内にこもり、ネットが自分の世界となる。そこで少年は大人の女性が自分で手に入らないと悟り、幼少の女の子に興味を持つようになる。そしてその少女に目をつけて、言葉巧みに自分の車に誘い、車を発進させ、森林の中で絞殺。そして全裸で捨てて遺棄」
「そのおかげで俺の仕事がなくなった」
水鳥の話を聞いて、誠良は沈んだ表情を浮かべる。

誠良が続ける。
「この少女。つまり島永陽菜は少女を虐げた主犯格だった。母親の絹子も。絹子は他の母親を巻き込み、少女の母親を追い詰めた。結果的に死に至らしめ、この事がマスコミに出さすと、つてを使い、その地区全体で封じ込めようとした。俺は表に出ないなら、その一家を破産させる工作をまゆと行おうとしたが、家を訪ねようとしたが、同時期に陽菜が行方不明となり、警察が自宅を訪れるようになったから、手を引かざるを得なかった。あんたの口ぶりだと、あんたらが仕組んだようだな?」
「そうよ」
誠良の問いに、水鳥は冷笑を浮かべながら、あっさりと返答した。

誠良が続ける。
「その事件は少年が母親も殺害し、警察が踏み込んだ時は少年は逃亡するも運転した車で事故を起こし、交通事故で死んだ。死後、警察の捜査で陽菜の体液、パソコンからの児童ポルノ招集等で、少年が犯人となり、被疑者死亡で起訴される事になった。少年の交通事故もあんたらの仕業か?」
「そうよ。口封じよ。知られる事はないけど、万が一私達の関係が表面化されるのはこまるからね」
水鳥は淡々と返す。

水鳥が続ける。
「裏で私達が絡んでる事は表に出なかったけど、貴方のお父さんはわかってたみたいね」
「だ、だから、楷真君のお父さんは苦渋の決断の末・・・この二人の暗殺を決断したの」
冷奈が苦悶の表情を浮かべながら返答した。

「まあ私達の暗殺は遂行されるだろうと踏んでいたわ。“依頼人”は関係者全員の殺害を望んでいたし、一気にカタをつける事にしたの。そこで母娘の迫害に直接関わった親子達の夕食会が開催される事になり、私達はその連中を全て殺害する事にしたわ。そして注意をそらすために、その地区の住人達もさまざまな犯罪歴のある人達や、殺人願望をする人間を募集して、襲撃させた。襲撃させた場所に楷真君、そこにいたわね?」
水鳥が微笑を浮かべながら誠良に顔を向ける。

「ああ。その計画を知って、俺とまゆはその地区に向かった。閑静な住宅街で、静まり返ってたが、既に計画が始まっていて、悲惨な状況だった。そこにいた奴らは出会って間もないのに、殺人が行えると言う事で集まり、平然と一人一人殺していた。烏合の衆で纏まりに欠けていたが、親父の指示で武流や統哉、里実や音葉が俺達を連れ戻しに来て、その場から離された。勿論裏であんたらの暗殺を実行する事は知らなかったけどな」
「そりゃ貴方のお父さんはそういった事に巻き込みたくなかったんだろうね」
「そうだろうが、俺は間倉の親父さんが殺された時、何もできなかった。だから人としての罪を犯したとは言え、無残に殺される事に納得できなかったからだ」
誠良は感情的に水鳥に返答する。

「楷真君」
「カイ」
誠良の言動を聞いた美紅と香奈は意外な表情を見せる。

美紅は涙を浮かべる。
「カイ。对不起(ごめんなさい)。香奈の事で貴方を責めて。貴方も苦しんでいたんだね」
「いいんだ」
美紅の涙ながらの謝罪に、誠良は気にしない素振りを見せる。


誠良の言動に救われる美紅と香奈。
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~ Comment ~

NoTitle

誠良くんはこの二人はもちろん、お父さんとも違う。彼には彼の通すべき筋がある。それが分かって香奈ちゃんも美紅ちゃんもわだかまりが解けたかな。
状況は悪いままですが、そのことは嬉しい。
続きもお待ちしております!^^

椿さんへ

状況は悪いままですが、美紅と香奈が救われた事は私もこの展開で行われるとは思ってなかったです。
流れでこうなりましたが、誠良と美紅、香奈のわだかまりが解け始めた事はホッとしてます。
続き頑張ります。
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